日本株の上値余地はどこまで期待できる?
3月最後となる今週の国内株市場ですが、権利付き最終日となる27日(水)の日経平均が40,762円で終え、権利落ち日となる翌28日(木)の寄り付きも40,324円となり、下落しながらも4万円水準の「節目」で着実に値固めを進めているような印象となっています。
最近の日本株市場は米国株市場が下落した流れを受けても、下値ではしっかり買いが入り、上昇に転じる日が増えていますが、その背景には、足元で円安傾向が続いていることによる輸出関連企業の業績上振れ観測をはじめ、配当再投資や新年度に向けた外国人の買いなどの需給要因が考えられます。
とりわけ、例年4月は外国人投資家が日本株を大きく買い越しているという傾向があるだけに、その期待値は高く、これを見越した先回りの買いも入っていると思われます。
さらに、4月後半からは国内企業の決算発表シーズンが本格化していきますが、日経平均を構成する225社のEPS(1株あたり利益)予想の平均をまとめると、全体では2025年3月期で10%ほど伸びるという見通しが優勢となっており、需給の買いから業績期待の買いへとつなげることができれば、日本株がもう一段階上振れる展開も想定されます。
とはいえ、先週末22日時点の日経平均の予想PERは17.38倍まで上昇しています。過去10年間の平均が15倍程度ですので、単純に過去と比べると日経平均は割高感が出ています。ただし、PERは「株価÷EPS」で計算されますので、今後の企業決算発表で分母のEPSが10%増えていくことを前提にするならば、理屈の上では15倍台まで低下するため、現在の株価は正当化されることになります。
ここから言えるのは、「足元の相場はこうした事態をすでに先取りしている」ということと、「さらに株価が上昇するには、割安感の修正だけでは難しく、さらなる業績の伸びが必要」ということになります。
例えば、メガバンク株(三菱UFJFG・三井住友FG、みずほFG)は足元で高値圏での推移が続いているものの、3月上旬につけた高値を超えられない状況となっていますが、実際に、PERやROE、PBRなどの指標を見ると、バンク・オブ・アメリカやウェルズ・ファーゴ、シティGといった米大手銀行と比較してもあまり変わらない値となっており、すでに割安感の修正が完了し、業績の伸びが次の焦点になっています。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏の発言で注目を浴びた大手商社株も高値圏でのもみ合いとなっており、銀行株と同じような状況であると考えられます。
そのため、割安感の修正が進み、物色できるセクターや銘柄の選択肢が狭まりつつあることや、円安以外の業績上振れ材料が半導体など一部に限られていることを踏まえると、今後もこれまでのような大幅な株価上昇を演じていくためのハードルは上がってきていると言えます。
したがって、ここからは積極的に上値を追うよりも、株価が調整した際の押し目を拾うような投資戦略の見直し点検が必要になる局面が訪れるかもしれません。
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