来週の金融政策決定会合で日銀は動くか?
今週の株式市場ですが、日経平均が節目の33,000円台に乗せる場面があるなど、株価の持ち直しを見せています。週末にかけて32,000円台前半まで株価の下げ足が早まった先週と比べると、今週の相場のムードは一応、改善しつつあると言えます。
とはいえ、13日(水)取引終了時の日経平均の状況をテクニカル分析的に捉えると、25日移動平均線が上値の抵抗として意識されているなど、積極的に株価の戻りを試しているというわけではなさそうです。また、日々の値動きの幅についても、TOPIXはあまり揺れ動いておらず、日経平均の振れ幅だけが大きくなっているため、足元の相場は先物取引を中心に短期的な動きが中心となっている様子がうかがえます。
確かに、今週の米FOMC(連邦公開市場委員会)や、来週の日銀金融政策決定会合といった、日米の金融政策イベントを控え、それらの動向を見極めたいという思惑が市場で働きやすかったことが要因として考えられますが、そんな中でもFOMCを前にした米主要株価指数(NYダウ、S&P500、NASDAQ)が揃って年初来高値を更新し、FOMC後もNYダウが史上最高値を更新した一方で、それを受けた14日の取引開始直後の日本株は日経平均が冴えない動きとなっているように、米株上昇の勢いに乗れていない印象です。
とりわけ、日銀の金融政策決定会合への注目度が高まっていることが、相場の動きを難しくさせていると考えられます。先週7日(木)に参議院の財政金融委員会で植田日銀総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな金融政策運営になる」という発言をしたことがきっかけとなり、とりわけ、「年末」と「チャレンジング」というキーワードによって、来週の金融政策決定会合で政策変更が実施されるとの観測が増幅し、円高・株安が進行しました。
今回の発言については、「観測気球的に発言して市場の反応を確認しただけ」なのか、「金融政策の変更を前提にした発言なのか」など様々な憶測を呼んでいます。
確かに、実質賃金のマイナス傾向が続いていることや、国内消費支出が伸びていないこと、GDP(国内総生産)における内需と外需のバランスの悪さなど、日本国内のマクロを見渡すと、確かに、現時点では金融政策の変更は難しい面があります。
その一方で、米国では既に利上げの終了を織り込み、その先にある利下げについても議論が浮上してくることが想定されています。仮に、日銀の政策変更が米国の利下げとタイミングが重なってしまった場合、為替市場で円高が一気に進むなど、景気や企業業績、市場に大きなインパクトを与えてしまう恐れもあるため、「今の内にやれること(政策変更)はやっておこう」という意図が日銀にはあるかもしれません。
円高も短期間で一気に進むよりも、段階的に進んでいった方が、経済へのダメージは軽減されるため、来週の金融政策決定会合で日銀が行動を起こす可能性は思っている以上に高いのかもしれません。さらに、株価的には、ちょうど一年前の12月20日の日銀会合で、YCC(イールド・カーブ・コントロール)の修正がサプライズ的に決定され、この日の日経平均が前日比669円安となり、その後も軟調な展開が続いた経緯もあります。
そのため、今年も年末にかけて神経質となる展開には注意が必要になりそうです。
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