今の株価上昇でつけた天井が今年の高値となる可能性
今週の国内株市場ですが、日経平均はついに33,000円台に乗せてきました。引き続き相場の強さを見せつけているような格好です。
テクニカル分析的に見て行くと、日経平均の33,000円台乗せは、2020年3月安値から2021年2月高値までの上昇幅(1万4,356円)、2021年2月高値から2022年3月安値までの下げ幅(6,033円)、2020年3月安値と2022年3月安値の下値の切り上げ幅(8,323円)の3つの値幅で計算したいくつかの目標株価のうち、「VT計算値(33,004円)」をクリアしたことを意味します。
今後は、次の目標値である「V計算値(36,747円)」を目指せるだけの相場の強さを発揮できるかが焦点になりますが、注意したいのは、「4月半ばから始まった上昇トレンドが、次の上昇でいったん終了するかもしれない」ということです。
その理由のひとつが、株価の「下落から底打ち、上昇トレンドに転じた」流れです。この流れが直近で大きく出たのは、コロナ・ショック時になります。当時は、約1カ月かけて株価が急落した後に、急反発を見せたものの、急落前の株価水準を前にしばらくもみ合いが続き、週足ベースの3本の移動平均線(13週・26週・52週)が株価の高い順に期間の短い順に並ぶ「パーフェクト・オーダー」となってから、一気に上昇トレンドを描きました。この時の上昇幅は約5,000円です。いわば「値幅調整」後に上昇トレンドとなったパターンです。
現在の上昇トレンドは、2021年9月の高値から約半年間かけて下落トレンドが出現し、2022年3月に底打ちしたものの、底値圏でのもみ合いが1年以上続きました。そして、移動平均線のパーフェクト・オーダーが出現した4月半ばから株価が急ピッチで上昇してきています。こちらは、先ほどの値幅調整ではなく、「時間調整」で上昇トレンドとなったパターンですが、現在までの上昇幅は4月7日の終値を起点とすると、すでに5,000円を超えてきており、前回と比べると、上げ幅的にはかなり「いいところ」まで来ていると言えます。
もちろん、衆院解散への思惑といった国内の政治要因や、強い米国株市場などの追い風を受けて、まだまだ株価が上値をもう一段階伸ばす可能性もありますが、足元では株価の上昇そのものが「Fear of Missing Out(株価上昇を逃すことへの恐怖)」を喚起しているムードもあるのは否めません。「買いたい」という意欲ではなく、「買わなければ」という焦りで上昇している面が強いだけに、今後の上昇が一服して調整局面を迎えた後に、再び高値の更新をトライできるかが難しくなるかもしれません。
実際に、コロナ・ショック時の上昇トレンドは、2021年2月16日の取引時間中につけた30,714円が天井となり、その後は同年8月下旬まで株価が下落する調整局面を迎えました。そして再び上昇基調へと転じましたが、その時につけた高値が同年9月14日の30,795円と、2月の高値を完全に抜き去ることができず、下落トレンドへと転じています。
そのため、足元の株価上昇でつけた天井が今年の高値となる可能性があり、いずれやってくる株価の調整局面での押し目買いについては、戻りの目標値を少し慎重に見て行く必要があるかもしれません。
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