「視界不良」の相場展開いつまで続く?

2023/02/17

今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ、先週に続き27,500円を意識する展開となっています。

株価水準自体はしっかりと維持している格好ですが、2月相場入りしてからの日足チャートでローソク足の並びを見ると、陰線(始値よりも終値が安い線)の多さが目立っています。15日(水)の取引終了時点で、11営業日が経過しましたが、陽線(始値よりも終値が高い線)となったのはわずかに3営業日しかなく、堅調というよりも上値が重たい印象の方が強いかもしれません。

1月末までの国内外の株式市場は、昨年末あたりに底を打ち、年明けに大きく株価を反発させてきたわけですが、その主な原動力となったのは、①「米金融政策の利上げの早期停止観測と年内の利下げ期待」、②「米景気のソフトランディング期待」、③「中国のリオープン期待」でした。

しかし、2月相場に入って、こうした期待感が揺らぎつつあります。具体的に見ていくと、①については、米1月雇用統計が予想以上の強い結果となったほか、米FRB(連邦準備制度理事会)の要人発言も、最近までハト派気味だったのが、再びタカ派の発言が増えてきました。

また、②については、企業決算シーズンが一巡し、相場全体としては相場が崩れることなく無難に通過しましたが、個別で見れば、「今が最悪期」とは言えない内容の業績や見通しを示す企業も少なくありませんでした。①の期待が金融引き締めの継続で萎む可能性を踏まえると、景気のソフトランディング期待は盛り上がりにくく、株価が安いところで買えても、積極的に上値を追えるほどの強さにはつながっていません。

さらに、③については、いわゆる「偵察気球」をめぐる騒動で、ブリンケン米国務長官の訪中が延期され、中国の6団体を貿易ブラックリストに追加といった米国側の対応が拡大する一方、中国側も強硬な姿勢を崩さないなど、米中関係の悪化が懸念されています。今後は3月に中国で全人代(全国人民代表大会)が控えているほか、春先にはマッカーシー米下院議長が台湾を訪問するのではといった報道もあり、政治面の動向が注目されます。

今後は米中関係者の会談が設けられれば、「事態のエスカレートが避けられる」という受け止め方で株式市場の買い材料になることも考えられますが、関係の改善まで発展させられるかはまだ未知数です。

したがって、当面の株式市場は、一時的な株価の上振れや下振れの場面がありそうなものの、中長期のトレンドに発展する可能性は低く、引き続き「統一感」のない展開がメインシナリオになりそうです。

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