米国株市場の警戒モードで日本株はどう動くか?

2023/01/06

2023年相場入りとなった今週の国内株市場ですが、大発会となる1月4日(水)の日経平均は25,716円で取引を終えました。先週末の大納会終値(26,094円)から下落したほか、節目の26,000円台も下回るなど、その船出は靄がかったものになりました。年末年始の米国株市場で警戒モードが高まったことや、為替市場で円高が進行したことなどが影響した格好です。

あらためて足元の相場の地合いを整理すると、大きく3つに分けられます。ひとつめは、「日銀サプライズ」の余波によって銘柄物色に温度差があり、全体的に方向感が出にくくなった国内株市場、続いては、時間を掛けて見極めていく段階の実体経済と、ちょっとした材料で株価が敏感に反応してしまう市場のスピード感とのあいだに生じた「ギャップ」を修正する局面に入った米国株市場、そして3つめが、「ゼロコロナ政策」修正後に経済再開期待と感染者拡大による混乱警戒が併存する中国の動向です。こうした前年からの不透明感が年を跨いで引き継がれています。

また、日本株だけでなく、年初の米国株市場も下落でスタートしていますが、3日(火)の取引では、米アップル社の時価総額2兆ドル割れや10%を超えるテスラ株の下落などが注目されました。アップル株については、多くの投資家が保有していることもあり、同社の株価が落ち着いて来ないと、相場全体も不安定な状況が続く可能性があります。

米国では今後、週末6日(金)の雇用統計や来週12日(木)のCPI(消費者物価指数)など、12月分の経済指標の公表が相次ぐほか、下旬からは米国企業の決算発表が本格するスケジュール感となっていて、とりわけ企業決算の動向が「次の展開」への手掛かりになると思われます。

米企業決算に対しては、「米金融引き締めによる景気悪化で需要が減少するのではないか」、「一気に緩和へと舵を切った中国のコロナ規制によって、感染者が急激に拡大し、サプライチェーン(供給網)の混乱がまだ続くのではないか」といった警戒感がくすぶっており、実際の企業業績への影響を見極めていくことになります。

そのため、本格的な株高シナリオを描くのはいったん仕切り直しとなり、もうしばらくは株価が荒っぽい値動きを続けることになりそうです。

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