コロナ政策緩和期待で上昇する中国株はどこまで続く?

2022/12/16

今週の株式市場ですが、米11月CPI(消費者物価指数)やFOMC(連邦公開市場委員会)といった、米国のイベントに対する反応を見極める展開となっています。

予想よりもインフレの進行が鈍化した米11月CPIを受けて、13日(火)の米国株市場が上昇し、それを受けた14日(水)の日経平均も節目の28,000円台を回復させました。とはいえ、米11月CPIの結果自体は前年比で7.1%増と高いインフレ水準を維持しており、米NYダウは一時700ドル超高となったものの、100ドルちょっとまで上げ幅を縮小させています。さらに、FOMCの結果も予想通りに0.5%の利上げが決定されましたが、利上げの方針自体は軟化したわけではなく、株式市場は下落で反応しており、まだ油断ができない状況です。

また、米国のイベントと同様に注目されるのが中国株市場の動向です。上海総合指数やハンセン指数、NASDAQゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数などの主要な中国株関連指数は、3期目の習近平政権が発足した10月下旬に大きく下落したものの、下げ止まった後は、12月に入るまで順調に値を戻してきました。とりわけ、「ゼロコロナ政策」が緩和され始めた11月下旬からは一段高となっていますが、大きく報じられたように、中国の国内外で起こった抗議活動がきっかけとなっています。

とはいえ、コロナ政策の規制緩和による株高期待は長く続かないかもしれません。15日(木)から予定されていた「中央経済工作会議」の開催が北京でのコロナ感染者の増加を理由に延期が発表され、規制緩和と同時に中国国内のコロナ感染者が急拡大している可能性があります。

スケジュール的には来年の1月21日から春節(旧正月)の連休が始まるほか、このまま感染拡大が進んだ場合には、景気やサプライチェーン(供給網)への影響が懸念されます。再び規制を強化する方向に舵を切ることも考えられますし、状況によっては、3月開催予定の全人代(全国人民代表大会)に政治的な影響を及ぼすことも想定されます。

問題なのは、感染状況の実態が把握しにくくなっていると思われる点です。これまではゼロコロナ政策を推進するため、中国当局は国民にコロナウイルスに対する恐さを強調してきましたが、最近は、「さほど恐れる必要がない」旨を盛んにアピールし始めていますし、今週13日(火)からは行動追跡アプリの運用も停止され、無症状感染者の公表も取り止めとなっています。

そのため、ここからの中国株市場は不透明なコロナ感染者の動向とその影響に左右されやすくなると思われ、本格的な経済再開を織り込む局面に入るのは、もうしばらく時間が掛かるかもしれません。

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