株価下落と景況観の織り込み
今週の株式市場ですが、これまでのところ値動きの荒い展開が目立っています。日経平均は週初の12日(月)に「窓」空けで28,500円を回復、翌13日(火)もその水準を保っていたのですが、14日(水)に再び大きな「窓」を空けて急落し、「アイランド・リバーサル」と呼ばれる株価の天井サインの形成を思わせるような展開となっています。米国株市場もNYダウが12日(月)まで4日続伸していたのですが、13日(火)に前日比で今年最大の下げ幅となる1,276ドルの下落となり、4日間の上昇幅を帳消しにしています。
こうした株価急落のきっかけとなったのは、米8月消費者物価指数(CPI)です。その結果は前年比で8.3%の上昇となり、伸び率自体は2カ月連続で縮小したものの、市場予想(8.9%の上昇)よりは強かったほか、コア指数(エネルギーと食品を除いたもの)については、同じく6.3%の上昇で前月から拡大しました。
数値自体に大きな変化はなかったのですが、ほんの少し前までは、原油価格の下落を背景に、インフレのピークアウトや金融引き締めの緩和を期待していた相場のムードからすると、今回の結果は、あらためて米FRB(連邦準備理事会)による引き締め継続を意識させたと思われます。とりわけ、コア指数の伸びによって、インフレの要因が原油価格だけでなく、人件費や家賃などの高騰も影響していることが浮き彫りになった格好です。
今年に入ってからの米国株市場の動きを見ると、株価の下落に大きく反発しては、再び安値を更新する下落を見せるといった展開が6月中旬まで続いていました。その後については株価が下落しても、安値を更新するのではなく、下値を切り上げながら戻りを試していたため、ようやく底打ち感も出つつあっただけに、今週の下落がどこでストップするのかが注目されます。つまり、直近の安値(6月17日の29,653円)を下回らずに済むかどうかです。
一般的に、相場には、①業績相場、②逆金融相場、③逆業績相場、④金融相場の局面がサイクルで回っていくという考え方がありますが、現在は各国の中央銀行がインフレに対処するために金融引き締めを行っている②の逆金融相場に位置しています。セオリー通りならば、金融引き締めの影響が景況感や企業業績に表れはじめ、③の逆業績相場へと移行するのですが、8月半ばまでの株価上昇局面では、インフレの早期ピークアウトや景気のソフトランディングを見越して、一足飛びに④の金融相場を期待する動きが一部で見られました。そのため、株価が一段安となるかどうかについての見極めは、「相場が景況感の悪化をどこまで織り込んでいるか?」がカギとなります。
別名「恐怖指数」と呼ばれる米VIX指数は、相場が上昇するときは下落、反対に相場が下落するときには上昇するといった具合に、逆相関の動きをする特徴があり、相場が天井を付けるときは、VIX指数が20%以下、大底を付けるときは40%以上が目安とされています。足元動きを見ると、NYダウが直近安値つけた6月17日のVIX指数は約35%、9月14日の下落では28%となっていて、40%に届いておらず、はたして、相場が景況感の悪化を十分に織り込んでいるかは微妙なところです。
そのため、しばらくは株価の一段安の可能性を念頭に置きつつ、相場に臨む必要がありそうです。
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