足元の株価反発は「サマーラリー」につながるか?

2022/07/22

連休明けで迎えた今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は株価の戻り基調が目立つ展開となっています。とりわけ20日(水)の取引では、いわゆる「窓」空けで節目の27,000円台を突破し、その後も上値を伸ばして27,600円超えあたりまで上値を切り上げる展開となっています。

テクニカル分析の視点で眺めてみると、日足チャートでは株価が一気に200日移動平均線の攻防へとステージが上がったほか、MACDも「0円」ラインを上抜けており、相場は上方向への意識を強めているような印象です。

そして、次のポイントになるのは、週足チャートでの52週移動平均線になります。52週移動平均線は約1年間の値動きの中心線であるほか、昨年の日経平均が2度にわたって30,000円台に乗せた局面(2月~9月)では、株価の「サポート」として機能していたのが、その後の昨年12月に株価がこの52週移動平均線を下抜けてからは、サポートから「抵抗」として機能するようになり、現在に至っています。そのため、「サマーラリー」につながるような、中長期的な上昇基調に戻すには52週移動平均線を超えることが必須です。

こうした足元の株価上昇の背景には、米株市場の復調が影響しています。6月のCPI(消費者物価指数)とPPI(卸売物価指数)といったインフレ指標の発表を乗り切った先週の米株市場ですが、足元で発表が相次いでいる企業決算を好感する動きが加わる格好となっています。

確かに、先週の米インフレ指標は予想以上にインフレが進行していたことを示す内容だったのですが、それが却って「さすがに次回(7月)はピークアウトするだろう」という見方につながったほか、企業業績についても、大手金融機関が軒並み大幅減益となるなど、冴えないものも少なからずあるのですが、全体としては「懸念していたほど悪くはない」という受け止めとなっているようです。来週開催予定の米FOMC(連邦公開市場委員会)の利上げ幅予想も、にわかに警戒されていた1%ではなくて、0.75%になりそうだとの観測も相場を支えています。

前回のコラムでも触れたように、株価の本格的な上昇が続いていくためには、インフレの動向やそれに伴う国内外の金融政策への思惑、そして景気への影響という「三つ巴」の構図の中、(1)インフレが早期に落ち着きそう、(2)景気の減速も深刻な事態は避けられそう、(3)企業業績の落ち込みも限定的になりそうなどの面で自信を深める必要がありますが、足元はまだ自信を深めているとは言えないまでも、不安がいったん後退している状況と言えます。

そのため、しばらくは上値を試す場面が増えそうですが、まだ不安定な相場地合いが続いていることには意識しておく必要がありそうです。

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