「リスクオン」と株価の分水嶺
今週の国内株市場ですが、これまでのところ方向感に欠ける展開となっています。週初の6月27日(月)と28日(火)は先週からの株価復調の流れを引き継ぎ、日経平均は27,000円台を回復する場面も見られましたが、その後は失速気味となっています。
テクニカル分析的には、日経平均が27,000円台に乗せた28日(火)のローソク足の形を見ると、25日と75日の2本の移動平均線をまたいで上昇する「2本上抜け」となっており、先高観が強まるパターンだったのですが、実際には上値を伸ばせず、30日(木)の取引開始時点での株価は2本の移動平均線よりも下に位置しています。今年に入ってからの日経平均の値動きを辿ると、27,000円水準はリスクの「オン」と「オフ」の分かれ目となっている場面が多く、それがあらためて意識させられた格好です。
また、前回のコラムでも触れましたが、足元の株式市場は「ベア・マーケットラリー」がこのまま続いてしまうのかどうかを見極める局面にあります。「インフレが収束する前に景気が減速するのではないか?」という懸念は根強く、インフレの動向やそれに伴う国内外の金融政策への思惑、そして景気への影響という「三つ巴」の構図でムードが揺れ動き、経済指標や企業業績、要人発言などによって敏感に反応しやすい相場地合いであることに変わりはありません。
今週は、「ゼロコロナ政策」を掲げる中国で水際対策の緩和方針が発表されたことや、四半期末に向けた機関投資家などによる株式のリバランス調整の買い観測などが相場の支援材料となった反面、28日(火)に公表された米6月消費者信頼感指数が冴えない結果だったほか、29日(水)には、パウエル米FRB議長が講演で、「FRBが経済のソフトランディング(軟着陸)を達成できる保証はない」、「最大の間違いは物価安定の回復に失敗することだ」と発言し、ある程度の景気減速を許容してでも利上げを続ける姿勢を示したことが相場の重石となっています。
今後のスケジュールを確認すると、月初恒例の米雇用統計の公表が翌週8日(金)に持ち越されるほか、最近の株式市場にとって「鬼門」の米CPI(消費者物価指数)も13日(水)に公表されるなど、カレンダー的に注目の米経済指標が後ろ倒しになっているだけでなく、さらにその頃には決算発表シーズン入りし始めるタイミングでもあります。
したがって、目先で株高が進んだとしても、次の「ヤマ場」が7月半ば以降にやってくることになりますので、その賞味期限が短くなるかもしれないことには注意しておく必要がありそうです。
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