危うさを抱えた株価上昇は時間で解決できるか?
「月またぎ」で4月相場を迎える今週の株式市場ですが、日経平均はこれまでのところ、節目の28,000円水準での攻防が続いています。テクニカル分析的にもちょうど200日移動平均線をトライするところに位置しており、ここを上抜ければ株価のさらなる上昇も期待できますが、ひとまず3月9日につけた安値(24,681円)からの戻りの勢いは一服しつつあるような印象です。となると、次の相場の焦点は調整局面をどう乗り切るかになりそうです。
確かに、直近までの株価上昇は、ウクライナ情勢への不透明感が燻る中、停戦交渉が継続していることや、資源価格の上昇基調が一服していること、ロシアのデフォルトが足元で回避されていることなどを受けて、ある程度の不安を先取りした反動だけではなく、米金融政策の正常化についても、リセッションを警戒する動きから、金利上昇に伴う利ザヤ改善期待による金融株への買いの動き、日米金利差拡大を背景とした円安進行による国内の輸出関連銘柄への物色など、「買える」材料に反応する動きとなっていました。
つまり、「株価は不安の崖をよじ登る」という相場格言を地で行く展開だったわけですが、その一方で、再び不安感が優勢になると、冒頭でも触れたように調整局面が訪れ、売りに押される場面が増えてくることが予想されます。
株価の調整には、「値幅調整」と「時間調整」がありますが、値幅調整については、昨年の8月から9月にかけて見られた、株価が天井をつけた後に急落していくようなパターンで、「上げ過ぎた分を下げて調整」する動きです。もうひとつの時間調整は、天井をつけた後の株価がしばらくもみ合いを続けることによって、時間をかけながら相場の過熱感を冷ましていくという調整パターンになります。
足元の日経平均の動きを見る限りでは、28,000円水準への拘りが透けて見えていることもあり、後者の時間調整を意識しているようにも感じられます。仮に下げ幅が拡大しても、27,000円水準や、75日・25日といった移動平均線がサポートして機能できれば、さほど心配する必要はなさそうです。
ただし、足元で買い材料となっている円安進行については、輸入コストの上昇や、直近の貿易収支は7カ月連続で赤字が続いていることもあり、単純に輸出企業にとって追い風というわけではなく、さらに、円安の恩恵を受けるのは一部の輸出企業や海外資産を多く持つ富裕層などに偏るといった格差への批判という側面があります。さらに、米国の金融政策についても、正常化ペースに米国景気がついて行けない兆候が出てくれば、リセッションが強く意識され始めることが想定されるなど、売り材料に転じかねない危うさを抱えている点には注意しておく必要がありそうです。
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