滲み出てきたリスクオフムードは払拭できるか?
今週の国内株市場ですが、こまでのところ緊迫化したウクライナ情勢の動向に左右される展開が目立っています。週初の日経平均はロシアによるウクライナへの侵攻が警戒されて一段安となった後、翌15日(火)には27,000円台割れとなりましたが、ロシア軍の一部撤退が報じられた16日(水)には大きく反発し、緊張感はいったん後退したような格好です。
では、このまま戻り基調が続くのかと言えば、米金融政策の正常化の動きとその背景にあるインフレ動向に対する警戒は一朝一夕で解消されるものではなく、金価格や原油価格は高止まりしています。また、16日の株価反発についても、上昇率を見ると、日経平均(+2.22%)、TOPIX(+1.67%)、マザーズ指数(+1.13%)、ジャスダック平均(+0.39%)と日経平均の上昇が大きくなっており、短期筋の買戻しによる動きによる影響が色濃いと言えます。テクニカル分析的にも、16日の日経平均は25日移動平均線で上値が抑えられています。
今後も継続的な買いが入るかは、米FOMC議事録や米半導体関連企業のエヌビディアの決算の反応などを見極めながら方向感を探っていくことになります。実際に、FOMC議事録の公表を受けた16日の米株市場は、サプライズがなかったとして、下げ幅を縮小させるきっかけとなっています。
また、株価反発のきっかけとなったウクライナ情勢についても緊張が今後も続く可能性が高そうです。今回のロシアによる隣国ウクライナに対する軍事的圧力は、ウクライナがNATOへの加盟を検討していることに対する反発と加盟の取り下げ、旧ソ連崩壊後に失った東欧諸国に対するロシアの影響力を取り戻すことへの意思表示が背景にあり、侵攻そのものが目的ではありません。したがって、外交的解決の余地はあると言えますが、2014年のクリミア侵攻時のように、ロシアがウクライナにある程度の軍事的行動を起こし、有利な条件で合意(ミンスク合意)を結ばせた過去があるだけにまだ油断はできない状況と言えます。最近は直接的な軍事面だけでなく、サイバー攻撃なども含めた「ハイブリッド戦」というキーワードも耳にする機会も増えています。
さらに、今年の秋に中間選挙を控える米政権にとっても、すでに足元のインフレで支持が低下傾向にあるほか、外交的成果についてもアフガニスタンで「失点」しただけに、アピールのため今回のウクライナ情勢に対して強気姿勢を崩さないと思われます。3月1日にバイデン米大統領による一般教書演説が控えていることも意識されると思われ、実際の軍事衝突の確率は低いものの、雰囲気だけは緊迫感を煽るような状況は続くかもしれません。
そのため、金融政策と地政学の両面で滲み出てきたリスクオフムードは払拭するのは難しく、株式市場はしばらく不安定な値動きを辿ることになりそうです。
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