株式市場は米長期金利と企業業績で方向感を探る展開

2022/01/14

連休明けで4営業日となった今週の国内株式市場ですが、12日(水)の取引で日経平均が前日比で500円を超える上昇を見せる場面がありました。前晩の米株市場が反発した流れを受けた格好です。

こうした日米の株高の背景にあるのは、パウエルFRB議長再任をめぐって開催された米上院での公聴会での同氏の発言です。具体的な発言のポイントは、「インフレは依然として脅威である」こと、「米国経済は緩和的な金融政策を必要としていない」こと、「おそらく2022年後半にQT(資産縮小)をはじめる」ことの3点です。前者の2つで、金融政策の正常化の姿勢を示しつつ、足元で前のめりとなっていた、正常化ペースの先取りについては牽制したような内容です。

たしかに、先週の日米の株式市場は、公表されたFOMC議事要旨で、QT開始について「最初の利上げ後の早い時期に実施を検討」していたことが判明したことをきっかけに急落していましたが、今回のパウエル議長の発言によって、2022年後半に開始という時間軸がFRBと市場で共通認識として確認できたことで落ち着きを見せたと思われます。米10年債利回り(長期金利)についても、1.8%超えをうかがう上昇から、1.7%台の前半へと低下をしています。

そのため、少なくとも米長期金利が1.8%超えを目指す動きにならない限り、株式市場が崩れることはなさそうです。実際に12日に発表された米12CPI(消費者物価指数)の結果が前年同月比で7%の上昇と39年ぶりの高さだったのですが、米長期金利が上昇しなかったため、同日の米株市場も堅調な値動きとなりました。この流れをうけた13日の日経平均は下落していますが、指数寄与度の高いファーストリテイリングの決算が引け後に控えていることの影響が考えられます。

このように、金融相場から業績相場へと移っていく中、これから本格化する日米の企業決算の動向を見極めながら銘柄の選別が進むと思われます。来週は米国で、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースといった金融機関をはじめ、ネットフリックスやインテル、アルコアなどの決算発表が予定されています。

もっとも、注目度が高いとされる、GAFAM銘柄の決算は再来週以降となりますので、それまでの株式市場は目先の戻りを試しやすい相場地合いとなるかもしれません。

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