年末株高へのハードルは高い?
日米ともに祝日をはさみ、4営業日となっている今週の株式市場ですが、日経平均は24日(水)の取引で大きく下落するなど、これまでのところ、軟調地合いでの推移となっています。
早いもので、来週の半ばからは12月に入り、2021年相場も残り1カ月を切ります。そのため、今週は、12月相場や年末株高に向けたムード作りが試されることになり、その焦点として、(1)先週末に発表した岸田政権の経済政策に対する初期反応、(2)週末の26日(金)からスタートする米国の年末商戦(ブラック・フライデー)、(3)25日(木)の感謝祭までに公表されるとされる次期FRB議長の人事などが挙げられます。
まずは、(1)の経済政策に対する株式市場の初期反応の見極めが、日経平均3万円台への越えるべき最初のハードルになりましたが、株式市場の反応はほぼスルーといって良いものでした。
具体的な経済政策に対する細かい分析や影響は他に譲りますが、ざっくりとしたポイントとしては、「過去最大規模(約55兆円)の財政支出」、「想定される実質GDPの押し上げ効果は5.6%程度」、「いまだに成長への投資よりもコロナ対策や給付が中心」などがあります。
先週は、50兆円を超える規模が見込まれると報じられ、そのインパクトで株式市場が反応する場面もありましたが、発表された中身については、給付金が中心で、すでにコロナ後の成長を見据えて経済政策を打っている米国など海外と比べると、持続的な成長や新たな産業育成への投資に乏しい印象です。
もちろん、国内需要を喚起する必要はあり、バラマキという批判があっても、一定の効果が望めることや、政策の規模感や資金が向かうとされる分野の銘柄が物色されることで、日経平均が3万円台をクリアすることも考えられるものの、今後も中長期的に相場に方向性をもたらすかは微妙なところかもしれません。
また、米国では次期FRB議長候補にパルエル現議長の続投方針が示されました。コロナ禍における手腕の評価もあり、市場に安心感をもたらした一方、テーパリング(量的緩和の縮小)とその後の利上げ観測が維持され、足元のインフレ警戒と相まって、米長期金利が上昇し、高PERのIT・ハイテク銘柄が売られる反応となっています。足元の日本株安もその流れを受けた格好です。
さらに、今年の米年末商戦は、供給網の混乱による品不足への懸念によって、セールが前倒しで始まっているという見方もあり、その初動も注目されるほか、12月に入ると、米債務上限問題の再燃や中国恒大集団の大規模な利払いといったイベントも控えています。
とりわけ注意が必要なのは、12月10日に公表される予定の米11月消費者物価指数(CPI)かもしれません。すでにCPIは前年比で高い伸びを示す傾向が続いていますが、これまでは、「コロナ禍で落ち込んだ反動で物価上昇は一時的」という米FRBの見解がここにきて揺らぎ始めています。足元では各国の石油備蓄の放出なども報じられており、しばらくは株式市場がインフレ動向に敏感に反応しやすい状況が続きやすいと考えられます。
そのため、例年のように年末株高への期待感だけでなく、株価調整への意識も持っておく必要があるかもしれません。
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