日本株の「見直し買い」はホンモノか?
「月またぎ」となった今週の国内株市場ですが、これまで11カ月連続で続いていた「日経平均の月末株安」のジンクスを跳ね返して上昇し、久々に28,000円台を回復しました。9月相場の初日の取引も一段高となって、75日と200日の移動平均線も上抜けています。
こうした株価上昇の背景には、先週末の注目材料だった、米ジャクソンホール会合(カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム)でのパウエルFRB議長の講演で、テーパリング(量的緩和縮小)の年内開始に言及したものの、その開始時期や、利上げについての示唆がなかったことが安心感をもたらし、米株市場が上昇という初期反応を見せたことがきっかけとなっています。
さらに、国内要因として、衆議院の解散総選挙の時期をめぐる関心度の高まりによって、政局変化を期待する買いが入ったほか、月末株安を見越した売りポジションの解消、法人企業景気予測調査で企業の景況感が改善傾向となったこと、そして以前より日本株の出遅れ感を指摘する見方が根強かったことも株高の追い風になりました。
足元の日本株の復調が本格的な「見直し買い」なのかどうかについて、来週末のメジャーSQへの思惑が株高に影響したという見方や、積み上った信用買い残の戻り待ち売り観測もあるため、まだ確信を持つ段階ではないと思いますが、少なくとも、長く続いた月末株安のジンクスを打ち破ったことは、日経平均が2月に高値をつけてから約半年続いた下落トレンド終焉の狼煙となる可能性があります。
また、ジャクソンホール会合の無難な通過によって、金融政策への警戒が後退したように見える米株市場も注意が必要かもしれません。そもそも、今回のパウエルFRB議長の講演は、「テーパリングを開始するよ」というメッセージをマーケットに対して上手く告知できた段階に過ぎません。次の焦点は、経済指標などの米景況感を睨みながら、テーパリングの開始時期がいつになるのか、どのくらいのペースで縮小していくのかへと移行していきます。今週末の米雇用統計の内容次第ではそのタイミングが早まることも考えられます。
縮小のペースが判明すれば、テーパリングの終了時期についても大体の目安がつきますので、その後に控える利上げの開始時期も意識されることになります。そのため、金融市場が米国の金融政策を材料に動意付く場面が再び訪れることが想定されます。足元の株式市場は、それまでに「どこまで値を伸ばせるか?」を試している局面なのかもしれません。
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