それでも日本株の出遅れ修正は続くか?

2021/07/02

今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ、やや弱含みでの推移が続いています。テクニカル分析的に見ても、日々のローソク足の並びが、いわゆる陰線(終値が始値よりも安い形)が目立っており、積極的な買いが乏しくなっている印象です。

ただ、日経平均の株価水準は、ここ1カ月ぐらい続いている、28,500円~29,200円あたりのレンジ相場の範囲内にとどまっていて、相場地合いはまだ堅調と見ることもできます。その一方で、NASDAQS&P500が最高値を更新する場面を見せている米国株市場の流れにイマイチついて行けていない面も覗かせています。

国内では、新型コロナウイルスのワクチン接種が思ったよりも早いペースで進んでいることによる、日本株の出遅れ修正や、企業業績への期待がある一方、ここにきてワクチンの供給が滞りがちになっていることや、五輪開催までカウントダウンとなった現段階において、変異型ウイルスの感染が拡大していることの方が警戒されている印象です。変異型ウイルスについては、感染力が強いとされているデルタ株やラムダ株などを中心に、接種が進んでいる他の国において感染が拡大していることも不安視されています。

実際に、最近の東京都の新規感染者数は、連日で前週の同じ曜日を上回る傾向となっているほか、五輪のために来日した選手および関係者の中から感染者が出ている事例が散見されており、さらに五輪開催に向けて感染状況が悪化する事態となれば、緊急事態宣言が再発出されて景気の足を引っ張ってしまう可能性があるほか、秋に実施される予定の衆院選で与党への風当たりが強まって、政治的な不透明感が強まることも想定されます。

とはいえ、国内ワクチン接種進展による日本株の出遅れ修正や、少し先の米国金融政策よりも目先の企業業績という相場の視点自体は大きく崩れているわけではなく、引き続き、ワクチン供給や感染状況などをにらみながら、不安と楽観ムードで動く展開となりそうです。

もちろん、高値圏で推移している米国株市場の動きにも注意が必要です。米国株市場は、米金利や景況感の動向に合わせて、景気敏感銘柄をはじめとするバリュー株とIT・ハイテク銘柄を中心とするグロース株とのあいだを交互に売り買いしながら株価水準を保っています。いわば、「いいところ取り」とも言える状況のため、その嚙み合わせがズレた際に、大きな調整局面が訪れる展開も有り得ます。

そのため、株式市場では「とりあえず買える銘柄を買う」という動きがしばらく続きそうです。

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