日経平均は3万円台を目指せるのか?

2020/11/27

3連休明けとなった今週の国内株市場ですが、日経平均は26,000円台に乗せ、バブル後最高値を更新する動きを見せています。米国株市場も30,000ドル台に乗せる場面を見せ、史上最高値を更新するなど、足元の株式市場は無類の強さを見せています。
抗コロナウイルスのワクチン開発が想定以上の速さで進み、コロナ克服や経済正常化に対して現実味を帯びてきていることをはじめ、トランプ米大統領が新政権への業務引き継ぎを容認したことや、その新政権の人事においても、積極財政派とされるイエレン前FRB議長が財務長官に就任するのではと報じられたことなどが株価上昇のきっかけとなっています。
その一方で、欧米のみならず、日本国内でもコロナウイルス感染者が再拡大し、「Go To」キャンペーンの見直しや、飲食店の時短営業要請などが議論されています。確かに、「株価は経済や企業価値を表す鏡」という考え方に基づけば、現在の株高と実体経済には乖離が生じていると言わざるを得ず、「株価が行き過ぎ」という見方になります。
それでも株価が上昇するのは、金融緩和がしばらく続くというのを前提にした、「過剰流動性相場」にあるからです。過去の相場においても、過剰流動性によって株価が上昇するといった局面は多く見られ、さほど珍しいことではないのですが、相場がある程度の過熱感を帯びてくると、金融引き締めが意識されるほか、実際に中央銀行が利上げを行うことで、適度に相場の過熱感を冷却しようとする動きが出てきます。
ただし、足元のコロナ感染拡大による実体経済悪化への不安が燻る状況下では、安易に金融引き締めができません。欧州では12月に開催される金融政策会合(ECB理事会)で追加緩和が決定されるのではという観測があるほか、米FRBも2023年までゼロ金利政策を維持する方針が示されるなど、いわば引き締めによる「ブレーキ」が存在していないことになります。
また、コロナ禍による企業業績への影響は、デジタル化推進によるサービスやそれを支える半導体・技術関連などの「勝ち組」と、旅行や飲食チェーンなどの「負け組」を生み出しています。感染が拡大すれば「勝ち組」株がさらに買われ、ワクチン期待が高まれば負け組が買われるといった具合に、株式市場では銘柄物色の循環も行われています。
さらに日本株においては、外国人投資家がこれまで売り越し基調を続けていたことによる、需給面の買い戻し期待もあります。
調子に乗っているだけに、引き締めが意識され始めた時は要注意となりますが、市場が実際の経済の正常化を確信するにはまだ時間がかかると思われ、上昇が一服したとしてもスピード調整となる可能性が高いほか、日経平均においては需給の思惑が一巡する12月のメジャーSQあたりまでさらに上昇していくのかもしれません。

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