米大統領選挙前の「だろう」から「かもしれない」運転へのシフト

2020/10/30

今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ米国株安と円高に引っ張られる格好で軟調な展開が目立っています。
とはいえ、23,000円台前半をキープしているほか、75日移動平均線がサポートとして意識されていることもあり、警戒感がありながらも、先行き不安を先取りして下値を探る動きにはなっていません。決算シーズンや「スガノミクス関連」を手掛かりとする個別物色の動きも相場を支えていると思われます。実際に、株価指数が弱い中でも、ソニーやコマツなど業績予想が上振れした銘柄は株価を伸ばすなど、「森よりも木を見る」相場地合いになっています。
米国株を中心とする足元の警戒感は、大詰めを迎えつつある米大統領選挙や欧米でのコロナウイルス感染再拡大を前にして、市場が慎重になりつつあるムードが反映されている面があります。「報道ベースでみれば、バイデン候補が勝利するだろうが、11月3日の投開票後も一波乱あるかもしれない」、「春先のコロナ感染流行からの経済の持ち直し傾向は続くだろうが、感染再拡大によってシナリオ修正に迫られるかもしれない」といったように、「だろう」運転から「かもしれない」運転の色合いを濃くさせてきている印象です。
そのため、本格的な政治混乱やウイルス感染が実体経済への深刻な影響を与えるなど、警戒感が現実的な不安に発展しない限りは、株価水準やテクニカル分析の節目で買いが入ってくるかと思われますが、もうしばらくは弱含みのもみ合いが続きそうです。
目先のターニングポイントとなるのは米大統領選挙です。報道ベースの見立て通り、バイデン民主党が勝利となれば、関連銘柄の物色などで足元の米株の下落基調がいったん持ち直すと思われますが、郵便投票をめぐって、トランプ陣営が反発しているなど、市場が選挙結果を織り込むタイミングが難しくなっています。
また、民主党政権に代わったとしてもコロナ対策には苦慮すると思われるほか、そもそも、バイデン氏自体が、民主党では党内の反左派勢力として大統領候補として選ばれ、大統領選では反トランプで選挙戦を戦っている面があり、必ずしも本人への期待が高いかといえば微妙なところがあります。「何かをやってくれそう」感を演出できなければ、株価の上昇期待が膨らまず、むしろバイデン氏は選挙戦よりも勝利後の方に課題があるのかもしれません。

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