マザーズ指数の上昇基調は続くか?

2020/10/23

今週の国内株市場ですが、日経平均は再び23,500円台超えを取り戻し、いまのところこの株価水準をキープする展開となっていますが、東証1部の売買代金の2兆円割れが続き、米国の企業決算や追加経済対策、大統領選挙の動向をにらみつつ、様子見が強い印象となっています。
他の株価指数であるTOPIXやマザーズ指数も同様の値動きとなっていますが、ただし、マザーズ指数については、先週の14日(水)の終値(1,365p)が、終値ベースでの高値(2018年1月24日の1,355p)を超えてきましたが、足元では失速しています。高値を更新したことによる達成感もあり、売りが出たと考えられます。
ここで気になるのは、マザーズ指数が再び上値をトライできるかです。21日(水)の終値は1,318pですが、この日の25日移動平均線(1,261p)からは、まだ上に位置しているほか、冒頭でも触れた通り、今週は横ばいの推移となっているため、チャートを見た限り相場が崩れてはいません。
とはいえ、マザーズ指数は3月13日の安値(527.3p)から10月14日の高値(1368.19p)まで約7カ月で2.59倍となっています。この上昇の大きさは何気に米NASDAQの1.8倍を超えているため、過熱感があるのも否めません。
月足チャートで見ると、ここ2-3週間のマザーズ指数は3カ月移動平均とくらべて+10%水準を挟んだ乖離率となっています。過去の動きを見ると、この3カ月移動平均との乖離率は概ね±10%の範囲内で推移することが多く、リーマン・ショック以降で+10%を超える局面は数える程度しかありません。
乖離率で考えれば、「そろそろ天井」となりますが、2012年終盤から始まった「アベノミクス相場」の初期は+10%-+25%あたりで数カ月推移しながら株価が上昇していた時期もあります。足元も「スガノミクス」期待で銘柄が物色されていることを踏まえると、まだまだ上昇する可能性はありそうです。
しかし、ファンダメンタルズでは買いづらくなっている面もあります。21日(水)の取引終了時点でのマザーズ市場の時価総額上位5銘柄は、メルカリ、フリー、ラクス、弁護士ドットコム、BASEですが、それぞれのPER(株価収益率)をみると、メルカリとフリーが赤字でPERが算出できず、ラクスは156倍、弁護士ドットコムが1,124倍、BASEが944倍となっています。
新興株市場は成長期待を織り込みやすく、売上が伸び続けているあいだは、赤字やある程度の高いPERを許容できるものの、さすがに1,000倍前後のPERだと、期待を織り込み過ぎという見方が出ても不思議ではありません。
だから「今すぐ下落に転じる」というわけではありませんが、いつ下落してもおかしくはなく、いったん売りに転じると、かなりの下落となる恐れがあるため注意が必要と言えそうです。

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楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
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