「閑散に売りなし」の日経平均は需給面で上値余地あり?

2020/08/28

今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ、再び23,000円台を回復する展開となっています。25日(火)の取引では、「窓」空けの格好で大きく値を伸ばし、終値ベースの直近高値(8月14日の23,289円)を上回る場面も見られました。

上昇のきっかけとなったのは米株市場です。米食品医薬品局(FDA)が新型コロナウイルスの感染から回復した患者の血液成分を投与する治療法を認可したと発表したことで、経済が正常化に向かうとの期待が高まりました。いわゆる景気敏感株が物色されたほか、S&P500やNASDAQ総合などの指数も最高値を更新するなどの流れが日本株も波及した格好です。

もちろん、これまでにも度々市場の材料となってきた抗コロナウイルスのワクチン開発と同様に、有効性や安全性について立証されていないため、過度な期待は禁物ですし、景気敏感株についても、コロナ禍からの現実の回復スピードは期待ほど早くならない可能性があるほか、大統領選挙前の「政治の季節」入りとなるため、高値更新が止まった後の米国株の調整局面には警戒が必要です。

日本株については、「閑散に売りなし」を地で行く形で堅調な展開が続いていますが、高値を更新している米国株のように、積極的に株価の上値を追うことはなく、「窓を空けて上昇しては失速して、また上昇」というパターンが繰り返されています。26日(水)取引終了時点の日経平均PERは22倍を超えており、割高感がある中では上値が重たくなりがちとなる印象です。

実際に、日経レバレッジ型ETF(1570)の信用買い残が増えていないことや、日経ダブルインバース型ETF(1357)の買い残がかなりの水準で積み上っています。つまり、需給面では日経平均の先高観が乏しいとみる投資家は結構多いと考えることができます。

具体的に日経ダブルインバース型ETFの買い残高を見ていくと、先週末8月21日時点の買い残高は1億1,830万口です。前週の残高(1億3,000万口)と比べると減少はしていますが、それでもまだ高水準の積み上がりを維持しています。日経ダブルインバース型の買い残が増加し始めたのは日経平均が底を打った3月中旬あたりからですので、信用取引の視点で捉えれば、まもなく半年間の期日が順次訪れることになり、これらの買い残が減少していくことが予想されます。

ダブルインバース型ETFの仕組み上、買い残が減少すると、先物市場で売りポジションの買い戻しが行われることになるため、先物市場を通じて、日経平均の上昇圧力になることが考えられます。株価が上昇する場面によっては、いわゆる「踏み上げ」相場の格好で上振れる可能性があることは意識しておいた方が良いかもしれません。

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