23,000円台からの日経平均は「生みの苦しみ」か?
今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ、上値が重たく、取引時間中に節目の23,000円台を下回る場面も見られています。ただし、先週に23,338円までやや早いピッチで上昇したことを考えれば、とりあえず底堅さを見せていると考えられます。
足元の株価水準は、いわゆる「コロナ・ショック」前の2月6日の取引時間中につけた高値(23,995円)まで、もうひと頑張りできれば手が届くところまで戻してきました。このままの勢いが続けば、ショック前の水準に戻るまで約半年間の期間を要したことになります。
とはいえ、過去の「〇〇ショック」を振り返ると、2015年8月の「チャイナ・ショック」の時は、急落前の株価に戻るまで約2年2カ月、2008年9月の「リーマン・ショック」の時は約4年半といったように、かなりの時間が掛かっており、それらと比べると今回の株価の戻りのペースはかなり早いと言えます。
確かに、経済指標や企業業績を見れば、4-6月期が最悪期という見方が優勢ですし、抗コロナウイルスワクチンの開発も急ピッチで進んでいるような印象で、株価もこうした期待を先取りして上昇していますが、今後の経済回復ペースが思ったよりも緩慢になってしまうことや、ワクチンについても効果や安全性の問題が出てくるかもしれません。米中対立についても、これまでのような「経済的利害関係が政治パフォーマンスを抑制する」という従来の見方に変化が起こりつつあります。
また、日経平均をPERで見ると、先週末8月14日は22.08倍と22倍台を超えてきました。同じく日経平均が23,000円台に乗せた6月8日は19.44倍だったことを踏まえると、同じ株価水準でもPERの数値が上昇しています。足元の相場は「強いか弱いか」で見れば強い一方、「高いか安いか」で見ると割高気味になっていることには配慮する必要がありそうです。
そもそも、「ウィズ・コロナ」、「アフター・コロナ」という言葉にもあるように、コロナ禍を通じて、今までの社会・生活環境が大きく変わろうとしています。その変化のスピードについては、加速している分野とそうでない分野で温度差があり、全体像が見えてくるのはもうしばらく先になると思われます。そのため、23,000円台からの上昇は「生みの苦しみ」を味わうことになりそうです。
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