気をつけておきたい香港情勢

2020/06/26

今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ22,500円をはさんだもみ合いから、やや軟調な展開が目立っています。

 

株価水準自体の方向性は乏しいものの、日々の値動きについては上げ下げが大きい日もあり、落ち着かない印象です。とりわけ、23日(火)の取引ではわずか1時間あまりのあいだに400円以上の値幅で下落と反発を見せる場面がありました。

 

23日(火)の株価乱高下のきっかけとなったのは、ナバロ米大統領補佐官の発言です。「中国との通商合意が終わった」と発言したと報じられ、その直後に「自身の発言は文脈を無視して報じられたもので、米中通商合意は続いている」と否定し、こうした一連の動きのあいだに株式市場は大きな上げ下げを演じました。

 

結果的に一時的な動きにとどまったわけですが、株式市場の反応をみると、それだけ米中摩擦の再燃や悪化に対して、敏感になりつつあることを認識させた出来事と言えます。米中関係については、新型コロナの初期対応や感染源をめぐる見解の食い違いをはじめ、中国の海洋進出や人権問題、香港情勢など、悪化の火種がいくつか燻っていますが、その中でも気をつけておきたいのは香港です。

 

焦点となっている「香港国家安全維持法」については、先月(5月)の中国全人代(全国人民代表大会)で法案の制定が採決され、具体的な内容について審議が行われています。そして、6月28日~30日の全人代常務委員会で可決されるというスケジュールになっており、このまま行けば、来週にも法案が成立する予定です。

 

現時点の報道ベースで判明している内容ですが、そのひとつとして注目されるのは、「国家安全維持公署」という機関が新設されることです。この機関は、「特定の状況」下において香港の各当局を監督・指導するという役割を持つとされています。この機関が持つ権限が香港の法律や制度を上回ることになりますので、「特定の状況」が拡大解釈されてしまえば、香港の高度な自治が損なわれる不安が高まるほか、9月に行われる香港議会選挙への介入も懸念されます。

 

さらに、香港国家安全維持法は外国人も対象となる可能性があります。香港に拠点を置く外国企業やその従業員の活動にも影響を及ぼすことになり、海外からの反発も予想されます。その影響が米中摩擦に波及するシナリオも想定されるため、注意しておく必要がありそうです。

 

 

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