株価反発でも蘇る「チャイナ・ショック」時の記憶
3月相場入りとなった今週の国内株市場ですが、日経平均は取引時間中でも上げ下げを見せるなど、これまでのところ荒い値動きが続いています。新型コロナウイルスの先行きが不透明な中、米FRBなどが緊急利下げを行い、金融・財政政策への思惑が高まっていることが背景です。少なくとも先週の急落モードはひとまず止まったと言えます。
国内でも、2日(月)の取引で日銀が最大規模のETF買い(1,002億円)を実施したことがインパクトとなって、株価が下落したかと思えば上昇に転じるなど、主体性があまり感じられない動きとなっています。そのため、しばらくは各国が打ち出す経済政策が株価下落の圧力にどこまで抗えるかが焦点になりそうです。
もっとも、金融緩和で「カネ」だけを動かしても、「ヒト」と「モノ」が滞っている状況が続く限り、その効果も限定的になってしまいすし、実体経済への影響が規模・時間軸ともに当初の想定よりも厄介なものになりつつある中、事態の長期化や実体経済の姿や回復の見込みが芳しくなければ、株価急落「第2弾」のシナリオも浮上してきます。
では、実際に株価急落「第2弾」の可能性がどこまであるのかを考える際、思い出されるのは2015年8月に発生した「チャイナ・ショック」時の記憶です。
当時の状況を振り返ると、日・米・中の株式市場が高値圏にある中、中国の金融当局が人民元の切り下げを前触れもなく実施したことをきっかけに相場が下落していきました。鈍化していたとはいえ、当時の中国経済は順調に成長を続けており、それに伴って通貨の人民元の価値も上昇(元高)していくだろうというシナリオが国内外の投資家共通の前提となっていたのですが、その認識が突如として崩れてしまったことで、一気に資金の流れが逆回転し、日経平均はわずか数日で3,000円近く値を下げていきました。
その後は、9月末までの約1カ月のあいだ、荒い値動きを繰り返しながら下値をトライして行きますが、状況が落ち着いた10月からは約2カ月間にわたって大きく反発する展開へと転じました。しかし、12月に入ると、中国の景気の悪化と債務問題という実体経済面が懸念され、株価急落の第2弾が訪れることになりました。
足元の日経平均も、株価が高値圏をつけていたタイミングで、意外な材料をきっかけに下落が始まったことや、これから新型肺炎ウイルスによる実体経済への影響の答え合わせが行われることなど、チャイナ・ショック時と似ている部分があります。
したがって、今後の株価が大きく反発したとしても、新型肺炎ウイルスが「現在進行形」であるうちは、次の大幅下落に備えておく必要があると言えそうです。
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