新型肺炎ウイルスは「織り込まれた」株価材料か?
今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ節目の23,000円台を回復し、反発気味の展開となっています。国内外の株式市場は中国発の新型肺炎ウイルスに揺れ動きましたが、ひとまず落ち着きを見せつつあるような印象です。
相場の不安を示すとされる米国のVIX指数が低下し、5日の米株市場ではS&P500とナスダック総合指数が揃って年初来高値を更新しました。6日(木)の日経平均も一段高でスタートしています。さらに、上海株市場も今週から春節の連休明けを迎えましたが、さすがに再開直後の3日(月)は一段安となったものの、以降は下げ渋りから反発を見せています。
中国当局がウイルス感染拡大による景気や企業業績への影響を軽減させるために、様々な経済政策を打ち出してくるとの観測や、米国株市場が同国の経済指標や企業業績を手掛かりに大きく株価を戻しているため、ウイルス感染の拡大は一過性の株価材料として織り込まれたとの見方も出てきています。特に、中国は来月上旬に全人代(全国人民代表大会)という大きな政治イベントを控えていることもあり、「本気でウイルス感染を収束させようとするだろう」という思惑も働きやすくなっています。
確かに、ウイルス感染の拡大はいずれ落ち着くものであり、実体経済への影響も1~2四半期程度で済むのであれば、その先にある回復を織り込んで株価が上向きになってもおかしくはありません。とはいえ、まだウイルス感染の拡大は現在進行中であり、まだ状況が収まっておらず、長期戦の様相となれば、「すでに終わった」材料ではなくなります。
結局、直近の株式市場は不安を先取りして株価が下落し、不安の後退とその後の政策期待を先取りして株価が上昇してきたと言えます。足元は受験シーズンの最中ですが、試験を受けて結果が発表される前に、合格か否かで気持だけが先走ってしまのと少し似ているような感じです。
つまり、今後は揺れ動いた株価の値動きに対して、実際の景気や企業業績の状況を確認していくことになります。そのため、日経平均が下落前の24,000円台を回復し、さらに上値をトライする状況まで一気に持っていくのは少しハードルが高いのかもしれません。
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