新型肺炎ウイルスは「織り込まれた」株価材料か?

2020/02/07

今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ節目の23,000円台を回復し、反発気味の展開となっています。国内外の株式市場は中国発の新型肺炎ウイルスに揺れ動きましたが、ひとまず落ち着きを見せつつあるような印象です。

 

相場の不安を示すとされる米国のVIX指数が低下し、5日の米株市場ではS&P500とナスダック総合指数が揃って年初来高値を更新しました。6日(木)の日経平均も一段高でスタートしています。さらに、上海株市場も今週から春節の連休明けを迎えましたが、さすがに再開直後の3日(月)は一段安となったものの、以降は下げ渋りから反発を見せています。

 

中国当局がウイルス感染拡大による景気や企業業績への影響を軽減させるために、様々な経済政策を打ち出してくるとの観測や、米国株市場が同国の経済指標や企業業績を手掛かりに大きく株価を戻しているため、ウイルス感染の拡大は一過性の株価材料として織り込まれたとの見方も出てきています。特に、中国は来月上旬に全人代(全国人民代表大会)という大きな政治イベントを控えていることもあり、「本気でウイルス感染を収束させようとするだろう」という思惑も働きやすくなっています。

 

確かに、ウイルス感染の拡大はいずれ落ち着くものであり、実体経済への影響も12四半期程度で済むのであれば、その先にある回復を織り込んで株価が上向きになってもおかしくはありません。とはいえ、まだウイルス感染の拡大は現在進行中であり、まだ状況が収まっておらず、長期戦の様相となれば、「すでに終わった」材料ではなくなります。

 

結局、直近の株式市場は不安を先取りして株価が下落し、不安の後退とその後の政策期待を先取りして株価が上昇してきたと言えます。足元は受験シーズンの最中ですが、試験を受けて結果が発表される前に、合格か否かで気持だけが先走ってしまのと少し似ているような感じです。

 

つまり、今後は揺れ動いた株価の値動きに対して、実際の景気や企業業績の状況を確認していくことになります。そのため、日経平均が下落前の24,000円台を回復し、さらに上値をトライする状況まで一気に持っていくのは少しハードルが高いのかもしれません。

 

 

 

楽天証券株式会社
楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。

商号等:楽天証券株式会社/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号、商品先物取引業者
加入協会:
  日本証券業協会
  一般社団法人金融先物取引業協会
  日本商品先物取引協会
  一般社団法人第二種金融商品取引業協会
  一般社団法人日本投資顧問業協会

このページのトップへ