今後の米中摩擦の行方と米大統領選挙
今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は24,000円台の攻防が続いています。
米中「第1段階の合意」成立が引き金となり、先週末の日経平均は昨年10月以来となる24,000円台乗せを実現させました。この日は米中関係がひとまず一歩前進したことで、年末に向けて株価の上値トライの雰囲気も強まっていましたが、土日の冷却期間を経て迎えた今週は、どちらかと言えば慎重な動きとなっています。
確かに、今回の合意成立が米中関係に対する不安を後退させたことは間違いありませんが、株価の上値を積極的に押し上げる推進力については限定的だったと言えます。その理由として大きいのは、「結果的に状況はあまり変わっておらず、先行きの不透明感も続いてしまった」ことです。素直に考えれば、第1段階の合意成立後は第2・第3の合意へとさらなる改善期待が高まり、株価も上昇しておかしくはないのですが、今のところそうなっていません。
まずは合意内容です。これまでに報道・発表されたものを並べてみると、中国側が受け入れたのは、①米国からの輸入を拡大させる、②知的財産権の保護に努める、③為替政策の透明性を高める、④金融市場の開放を進めるなどです。対する米国側が受け入れたのは、④12月15日発動予定だった対中制裁関税第4弾の2回目の回避、⑤9月に発動された1回目の税率を15%から7.5%に引き下げになります。これらは事前の報道や予想と比べて大差はなく、構造改革などは手つかずのままです。
さらに、例えば①の中国がどのくらい輸入額が増えるのかということについて、米国側は今後2年で約2,000億ドル増やすと発表していますが、中国側は具体的な数字に言及していないなど、細かい部分で意見が一致していない面もあり、そもそも第1段階の合意が署名されるのか、そしてきちんと履行されるのかなどがある程度ハッキリするまでは安心できない不安が残っています。さらに、最近はトランプ大統領の弾劾を巡る状況が過熱しており、同氏への批判の目を逸らすため、中国に対して圧力をかけてくる可能性も燻っています。
対する中国側も米国に強気に出てくる可能性があります。来年は米大統領選挙が予定されていますが、前オバマ政権の流れを汲み、自由貿易推進派のバイデン前副大統領が民主党の候補となった場合には、同氏の当選(トランプ大統領の再選を阻止)のために、交渉の進展をわざと遅らせるシナリオも考えられます。
そのため、2020年も米中摩擦が相場にとって強い存在感を示していくことになりそうです。
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