米中関係の「期待と不安のサイクル」
今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は21,500円を挟んだもみ合いが続き、方向感に乏しい展開となっています。その理由のひとつとして挙げられるのが米中関係です。すっかりお馴染みの材料ですが、今週の10日(木)~11日(金)にかけて閣僚級協議が予定されているものの、実施の日程や内容を含めてその動向は流動的で不透明感を増している印象です。
2019年の株式市場は米中関係の「期待と不安のサイクル」を中心に上げ下げを繰り返してきましたが、10カ月目に入った現在でも日経平均の値動きは昨年12月の1カ月間で動いた値幅の範囲内に収まっています。具体的には昨年12月3日高値の22,698円と12月26日安値の18,948円のレンジです。
昨年12月はじめと言えば、中国企業の華為技術(ファーウェイ)の副会長がカナダで逮捕され、米中摩擦が単なる通商問題だけでなく、ハイテク分野での覇権争いなど多岐にわたっていることを再認識させる出来事がありました。
従って、今後米中関係で何らかの進展が見られた場合、国内外の景気や企業業績の底打ち感につながるため、株価が上昇していくことが予想されますが、昨年12月の高値(22,698円)を超えられるかが焦点になりそうです。折しも10月半ばからは企業決算の発表シーズンが本格化していくタイミングでもあり、勢いに乗ればさらなる上値トライの可能性も出てきます。
ただし、現時点では過度な期待が持てない状況でもあります。今週7日に米商務省が中国のウイグル族への弾圧を理由に、複数の中国企業に対して禁輸措置を課すほか、中国政府高官に対するビザ発給の制限する方針を発表し、中国側も報復措置を匂わすなど両国の関係悪化が懸念されて日米の株価が下落する場面がありました。
その後、豚肉や大豆といった米国農産物の購入拡大など、中国側が部分的な合意に応じる用意があると報じられたことで株式市場が反発しましたが、これは中国内で発生した豚コレラの影響という別の理由があり、米中協議の革新的な部分での合意ではないほか、先ほどの米国が発表した措置は人権問題を口実にしているため、米中関係の構図はより複雑化しています。実際の協議でどこまで両国がどこまで歩み寄れるかが注目されます。
よって、年末に向けての相場が米中関係の「期待と不安のサイクル」から脱することができるか否かが試される局面に入りつつあると言えそうです。
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