それでも金融緩和期待は続く?
7月から8月の「月またぎ」となった今週の国内株市場ですが、注目イベントだった米FOMC(連邦公開市場委員会)後に大きく下落した米株市場の流れを受けて、月初となる8月1日(木)の日経平均は株価水準を一段切り下げて取引をスタートさせています。
0.25%の利下げを決定したこと自体は市場の想定内の結果だったものの、その後のパウエルFRB議長の記者会見の内容が、利下げサイクルの開始を示唆するものではなかったことがネガティブ視されました。やや前のめり過ぎる印象はありますが、市場の利下げ期待に応えることができなかった格好です。トランプ米大統領も「パウエル議長にはがっかりだ」とつぶやいています。
確かに、今回のFOMCに対する日米株式市場は下落という初期反応をみせましたが、このまま下げ足のピッチが速まるかといえば、ひとまず落ち着く可能性の方が高いと言えます。今後も米国では次の利下げ期待への思惑が継続しそうです。
スケジュール的には今月の22日~24日にいわゆる「ジャクソンホール会議」が予定されています。この会議は、米カンザスシティ連銀が主催する経済シンポジウムで、ワイオミング州のジャクソンホールで毎年開催され、主要国の中銀総裁や経済界の著名人が多く参加します。まだ確認できませんが、パウエルFRB議長が講演をする可能性があり、今後の金融政策について言及があるかもしれません。また、日本株にとっても、次の利下げについてハッキリしない間は為替市場で円高も進みにくく、相場を下支えしそうです。
また、今回のFOMCはこれからの相場を見ていく上でいくつかのポイントを提示しているようにも思われます。そもそも利下げサイクルを求めるほど米国経済は悪くなっていないですし、「予防的措置」とされる今回の利下げも、主眼としている米中摩擦が常態化してしまうことを想定しているのか、また、利下げ開始の出発点が低く、利下げできる幅に限界があることや、いざ本格的に景気後退局面に入ったときに対処できる政策手段の選択肢を狭めてしまうのではないか、などです。
さらに、これまでの株高を演出してきた金融緩和期待によって、相場の下振れ不安を抑え込んできた面があり、実際に「恐怖指数」とされるVIX指数があまり上昇していません。逆を言えばその分だけ反動も大きいことになりますので、株価の調整局面が訪れた時には深押してしまう展開も想定されるため、注意しておいた方が良さそうです。
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