米中関係悪化による「シナリオ再構築」は強気の継続か?
今週の国内株市場ですが、米中摩擦懸念の高まりによる先週の波乱相場の余韻が続き、日経平均はこれまでのところ、21,000円水準での攻防が続いています。昨年12月の下落局面の際、この水準を下抜けた辺りから下げが加速していった経緯があるだけに、心理的な節目として意識されているような印象です。
相場が注目するキーワードの顔ぶれは、「米中関係」や「(中国・米国・世界の)景気動向」、「企業業績」、「(FRBなどの)金融政策」、「各国の景気対策」といった具合に、昨年から大きく変わっていませんが、これらの組み合わせによるシナリオは変化しています。
最近までの株式市場は「米FRBのハト派姿勢や中国の経済政策などが世界景気の減速懸念を後退させ、それに伴って企業業績も持ち直し、米中関係の改善期待も追い風になっている」というシナリオで上昇してきましたが、現在はこのシナリオが再構築され、どんなストーリーになりそうなのかを探っている状況と言えます。実際に、日米株式市場の足元の値動きを見ると、同じ日の取引で大きく下落したかと思えば上昇に転じたりと、かなり忙しくなっていて、強気と弱気のあいだで揺れ動いている様子が感じ取れます。
最大のカギは米中関係の動向ですが、今のところは、「6月下旬にG20の首脳会合が予定されていることもあり、早い段階で進展があるだろう」、「FRBの利下げや中国の景気対策が実施されれば今回の関税引き上げによる景気減速や企業業績への悪影響をカバーできる」といった強気の見方が多いようです。「状況の悪化が一時的であれば、株価が下がっている今がチャンス」というわけです。
また、米国による対中関税の引き上げは、過去に遡ると、昨年の7月6日(1回目)、8月23日(2回目)、9月24日(3回目)に実施されていますが、実は関税引き上げ直後の株式市場はあまり崩れることはありませんでした。とりわけ3回目の引き上げ直後のNYダウは史上最高値を更新しています。関税の引き上げ実施とともに、交渉を継続する旨がアピールされ、「いずれ事態は改善に向かっていくだろう」という見通しが崩れなかったことが背景にあります。
ただし、米中摩擦が長期化し、金融緩和などが米中の経済指標や企業業績の悪化に抗えなければ、これまでの楽観シナリオは逆回転して悲観シナリオとなってしまいます。それを見せたのが、昨年末の下落局面でした。そのため、直近で見られる相場の落ち着きや反発への期待に素直に乗るのは悪くないものの、その地盤はもろい一面がありますので、戻り高値の重たさや、さらなる下落への警戒を怠ってはいけないと言えそうです。
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