株高をもたらす「材料連鎖」と「現実ギャップ」は諸刃の剣
平成最後の取引週となった今週の国内株市場ですが、日経平均は節目の22,000円台を維持しつつも、値動きはやや慌ただしく、方向感に乏しい展開となっています。国内外企業の決算発表シーズンが本格化するタイミングではありますが、国内の大型連休が控えていることも影響していると思われます。
確かに、今週末から始まる連休中の海外のイベントを挙げてみると、米国のFOMCや雇用統計をはじめ、アップルやアルファベット(グーグル)などの企業決算、中国でもPMI(購買担当者景気指数)が発表され、そして政治面でも、米中の閣僚級の通商会合も開かれる予定となっていて、さすがに動きづらくなってしまうのも仕方がない面があります。
米国株市場に目を向けると、S&P500やナスダックが終値ベースで過去最高値を更新し、NYダウも最高値が間近に迫っています。すでに米国市場の株価水準は高値圏にあり、割高感を指摘する声も聞かれます。
足元の株高の材料は、①米FRBのハト派スタンスや、②世界的な景気減速懸念の後退、そして③企業業績への期待によってもたらされていますが、これらの材料はそれぞれ独立しているのではなく、連鎖している点には留意しておく必要があります。実際に、昨年末はこれら①~③の材料に対する不安が高まっていたことで株価が急落していました。
著名投資家のジョージ・ソロスは、市場の価格形成は「本当の現実」と「(投資家が)認知している現実」とのギャップの拡大と縮小で行われ、株式投資は、市場価格と実際の価値とのギャップの修正プロセスに参加することにほかならないという見方をしていますが、足元の株式市場はやや期待を先取りしている面もあり、投資家が認知している現実と本当の現実とのあいだにギャップが生じているのであれば、再び株価が調整局面を迎える可能性もあるわけです。
そのため、国内株市場は「諸刃の剣」を握りしめたまま大型連休を迎えることになるわけですが、連休中のイベントを通じてさらに一段高していくのか、それとも材料出尽くしとなるのかが注目されます。折しも5月は「セル・イン・メイ」という相場格言が意識されやすい時期でもあり、連休明けは米国株に比べて出遅れ気味になっている日本株のスタンスが吉と出るか凶と出るかが試されることになりそうです。
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