日本株の戻りの勢いがイマイチな理由

2019/02/22

今週の国内株式市場ですが、日経平均はこれまでのところ21,000円台乗せを維持し、ジリジリと戻り基調を辿っている展開が続いています。テクニカル分析の視点で株価水準を捉えてみると、昨年10月以降に上値の抵抗線となっていた75日移動平均線もようやく上抜け、さらなる上放れを意識しているような状況です。

 

 

ただ、同じように米NYダウや中国上海総合指数のチャートでは、足元の株価水準はこの75日をかなり上放れしており、日本株は海外株式市場と比べると、株価の戻りのピッチはやや出遅れいていると言えます。東証1部の売買代金の推移を見てもあまり盛り上がっているとは言えず、このまま素直に日本株のキャッチアップを期待しにくい一面も覗かせています。では、日本株の戻りの勢いがイマイチなのは何故なのでしょうか?

 

日本株市場での取引シェアの約7割を占めているのが外国人ですが、その外国人の動向を年初からの投資部門別売買状況でチェックしてみると、累計で株価指数先物取引では買い越しとなっているものの、現物株では売り越しが続いています。

 

ここから考えられるのは、「中長期の投資家の買いがまだ入っていないため、現物株が買い越しになっていない」ことと、「短期志向の売買が中心になっているため、先物取引が活発になっている」という点です。特に、先物取引については、昨年末の株価急落で売られていたため、その買い戻しが入っていると考えられます。そのため、先物取引の買い戻しが一巡した後も買いが続くのかが焦点になります。

 

相場環境を眺めてみると、直近までの株価の戻りは、企業決算発表通過による業績懸念の折り込みが進んだことや、米FRBの金融緩和スタンス観測、米中交渉の進展や、中国当局による経済対策効果への期待感などが材料となっています。つまり、昨年末に見せた株価急落の背景にあった「不安」の先取りから、「期待」の先取りへと市場のムードが大きく舵を切った格好です。

 

ここで重要なのは、先取りした不安材料の答え合わせがまだ進んでいないということです。米中関係の行方もまだ不透明ですし、米FRBの金融政策についても、当初は利上げの一時休止観測を好感していたものが、足元では利下げ期待も織り込み始めたような雰囲気になっています。

 

また、国内でも経済統計への信頼度が揺らいでしまったことで、外国人が日本の景気を理由に敢えて日本株を買う関心度がジワリと低下してしまう可能性もあります。実際に、政府の消費増税対策や、日銀の政策が株式市場の重要な材料になることが減ってきているため、日本株は「世界景気の敏感株」という位置付けをより強めている状況にあると言えます。

 

日本株と米中株式市場との勢いの差は、それぞれの経済・金融政策が買い材料として扱われているか否かの違いを示しているのかもしれません。

 

 

 

 

 

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