徐々に落ち着く展開を予想

ワールドカップロシア大会が佳境に入っている。試合前の期待値がほぼゼロに等しかった日本がコロンビア戦に勝利し、セネガル戦を引き分け、勝ち点4でトップに立っている。本日、グループリーグ最終戦となるポーランドとの戦いがおこなわれる。逆に「楽観論」が大勢を占め始めているのが不気味だ。大衆予想とは逆に行きがちなのが大舞台のスポーツ。マーケットも良く似ていると思う。前回大会で優勝したイタリア、スペイン、ドイツがことごとく次の大会でグループリーグ敗退となった。コンセンサスに安心した者は敗れる。さて、遅くなったが5月のポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。

5月のマーケットは米国市場の上昇に対して日本市場は下落する展開となった。

米国市場は続伸。4月の雇用統計は+16.4万人と予想の+20万人を下回り、平均時給も伸び悩んだことから利上げペースが鈍るとの見方で買い安心感。原油先物相場が3年5か月ぶりに70ドル台に乗せエネルギー株が買われる。米中貿易交渉において互いに追加関税を取りやめると発表したため貿易摩擦懸念が後退し投資家心理が改善。ただし、イタリアやスペインの政治的混乱でEUの先行き懸念が広がり月末にかけてリスク回避の動き。5月のNYダウは24415ドルと前月より252ドル上昇し月間騰落率は+1.0%。ナスダックは7442となり375ポイント上昇の+5.3%となった。

東京市場は反落。東京市場は8週続伸となり、日経平均は23002円と2/2以来3か月ぶりの高値を付け、為替も111.40円まで円安に。しかしながら米朝首脳会談の中止懸念やトランプ大統領が輸入車に最大25%の関税をかけるとの発言で急速に円高が進み、先物主導で大きく売られる展開に。イタリアやスペインの政治リスクで日経平均は一時22000円割れとなり、日経VI指数は20.29まで上昇。売買代金は2.6兆円程度で推移。為替は先月末の109.30円から今月末は108.70円へ。5月の日経平均は22201円で取引を終え、4月末の21467円から266円下落し月間騰落率は-1.2%、Topixは-1.7%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-0.2%、マザーズ指数は-0.6%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における5月のパフォーマンスは-0.1%となり、年初来+0.4%、累計では+168.4%(4月末+168.7%)と前進。5月末時点のポートフォリオの株式比率は82%で27銘柄を保有(4月末は81%で25銘柄を保有)。株式部分の含み益は+31.0%(4月末は+32.1%)。82%のうち現物株のウェートは37%、日経レバレッジETFの保有比率30%の実質ロング比率は60%でロングは合計97%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは72%のロングポジションである。4月末の71%から若干上昇。

5月の日本市場は中旬までは8週続伸と順調に推移していたものの、トランプ大統領による新たな車への関税や、イタリア・スペインでの政局の混乱から値を崩す展開となった。イタリアでは連立政権が樹立したため政治的空白が解消されたもののEU懐疑派の色濃い政権のため今後も火種を抱えていると言える。ただし、政治的問題はマーケットにとっては一時的な問題にとどまるだろう。

トランプ政権による極端な保護貿易政策は国際ルール違反であり、今後是正されていく方向になると我々は考えている。相変わらずメディアによる「貿易戦争」の文字が躍っているが、そういう壊滅的なシナリオは非現実的である。

現在の相場は外部要因に影響を受けながらも、個別物色意欲の強いファンダメンタルズ相場となっている。しばらくは同様の展開が続くと予想される。相場下落では傷が小さく、戻り局面では大きくパフォーマンスが伸ばせるよう「強い銘柄」で着実な運用戦略をとっていきたい。

 

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