一段の上昇意欲を見せる株式市場

5月の中旬というのに、すでに気温が30℃以上となる真夏日の所が出現する陽気となった。昔は真夏日は7、8、9月の3ヶ月くらいしかなかったが、今や5月に始まって10月まで真夏日が存在する。ということは、実に1年の半分にあたるわけで、暑さとの戦いである。とくにシーズン初めは熱中症になる人が多いので、皆さんもぜひとも気を付けるようにしていただきたいと思う。

さて、4月のモデルポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。
4月のマーケットは日米市場とも高値追いの展開となった。

米国市場は反発。3月の雇用統計が予想の+25万人に対して約半分の+12.6万人にとどまったことから利上げ開始時期が先延ばしされるとの観測が浮上。決算発表はJPモルガンやGSなどの金融関連が好調に対して、デュポンやP&Gなどが減益となりまちまち。原油価格は下げ止まりの兆し。NYダウは18000ドル台を回復し、ナスダックは15年ぶりに過去最高値を更新したものの1-3月のGDPが+0.2%と市場予想の+1.0%を下回ったため利益確定売りの展開に。4月のNYダウは17840ドルと前月より64ドル上昇し月間騰落率は+0.4%。ナスダックは4941となり40ポイント上昇の+0.8%となった。

日本市場は4ヵ月連続の上昇となり、日経平均は一時15年ぶりに2万円台を回復。出遅れていたTopixも2007年11月以来7年5ヵ月ぶりに1600ポイントを回復した。外国人の買い意欲が強く主力株を中心に上昇。しかし、ギリシャ問題が足枷となったことに加えて、米1-3月のGDP伸び率の大幅減速、欧州市場の株価下落、日銀の金融政策の現状維持発表で4/30の日経平均は今年最大の下げとなる538円安を記録。為替は118円~120円台の小動き。売買代金は2.5兆円前後で推移。4月の日経平均は19520円で取引を終え、3月末の19206円から313円上昇し月間騰落率は+1.6%。またTopixは+3.2%上昇した。一方、小型株市場はジャスダック平均が+3.6%、マザーズ指数は+3.5%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における4月のパフォーマンスは+2.6%となり、年初来は+5.6%、累計では+162.3%(3月末+155.7%)となった。月次ベースでは2月末の+156.2%を抜いて過去最高値を更新。保有株式のウェートは3月末の86%から82%へ低下。ヘッジ戦略をおこなっていないためネットロング比率は82%である。ポートフォリオにおいて新高値を付けた銘柄が先月の11銘柄から14銘柄へと増加した。とりわけ今まで出遅れていた金融関連銘柄の上昇が目立った。

日経平均は3/23に15年ぶりの高値となる19754円を付けた後、足踏みをしていたが、4月に入って外国人投資家の強い買いでとうとう2万円の大台を回復した。また、Topixが1600ポイントを回復したことも特筆すべき点である。

4/30の日経平均は今年最大の下落となった。米国の一時的な景気減速、欧州市場の利益確定売り、そして日銀の金融政策決定会合での追加緩和を期待していたヘッジファンドのポジション調整に加え投機的な売りが要因となった。5月は例年、マーケットが荒れる傾向があるが、欧米市場の債券売り・株売りが一巡して世界的なリスクオフの流れが落ち付き、先週からはリスクオンの展開となっている。日本企業の15/3期の決算発表は一巡したが、16/3期の予想はやや保守的なものの順調な増益が続くことを確認。

5/19に日経平均は再び2万円台に乗せ、Topixならびにジャスダック平均やマザーズ指数が年初来高値を更新し始めていることから、マーケットが上へ行こうとする意思を感じる。こういう時はこの流れに逆らってはいけない。一度売ってしまうと買い戻せなくなるので注意が必要だ。現在のリスク要因は、何と言ってもギリシャ問題と世界的な金利の動向である。こうしたリスクと付き合いながら株式市場はしばらく並走していくことになる。

資産運用のリターンの源泉はあくまでも個別銘柄のファンダメンタルズである。好業績で株価が上昇基調に転換するケースが多く出てきている。太田忠投資評価研究所では年内に+200%のパフォーマンス達成を目指し、運用資産の一段の積み上げをおこなってく方針だ。

なお、4/10に中央公論新社より新刊本を発売した。

『いつも出遅れる人の株講座』(太田忠、中公新書ラクレ)
日本の株式市場は活況を呈しているが、必ずや「いつも買い遅れる人」、そして下げ局面になると、必ずや「いつも売り遅れる人」が出てくる。そのような事態に陥らないためには、実は、あらかじめいろいろと準備していないといけません。本書はそういう人にならないための処方箋である。

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