2022年の株式市場を展望する

いよいよ寅年のマーケットが始まった。干支別のパフォーマンスを見ると寅年の過去6回の勝率は1勝5敗と冴えず平均上昇率は+1.8%。しかも1986年の+42.6%を含めての数字であるため実質的にはかなり分が悪い。しかしながら、もはや干支によるパフォーマンスはアノマリーとしてアテにならなくなっているため、あまり気にする必要はないと思う。

さて、2022年のマーケットを展望してみたい。
昨年からの流れをつかむためにまずは2021年の総括から始めてみよう。一言でいえば、2021年は「バリュー株優位vsグロース株不振」の構図だった。MSCIジャパンバリューが+13.5%、MSCIジャパングロース+4.6%。バリュー圧勝だった。円ベースのデータは11月までしか出ていないが12月を含めるとさらにその傾向は強まっている。これは2020年とは対照的だ。2020年は全く逆でグロースが+23.0%、バリューが-3.6%とグロースの圧勝だった。

もし、このグロース圧勝を受けて「バリュー株なんか上がらない」と思いグロース株主体で投資していたならば、昨年2021年は大きくやられた年だ。春先に金融相場から業績相場に移り、金融緩和から金融正常化へ向けた動きになれば当然、グロース株に付いていたプレミアムは剥げ落ちて高いバリュエーションを許容できなくなる。成長期待の赤字企業も大きく後退する。まさに我に返るわけだ。するとイケイケ銘柄はどれもこれも見事に急落することになる。一方、これまで鳴かず飛ばずだった、利益はしっかり出ているのに「成長しないからつまらない」というレッテルを貼られていたバリュー株が正当に評価される形になった。市場別パフォーマンスを見ると、Topix +10.4%、日経平均+4.9%、ジャスダック平均+4.3%、マザーズ-17.4%とここにもはっきりと特徴が出ている。

今年のマーケットであるが日経平均で安値24500円~高値34500円のレンジを予想している。現在テーパリング局面に入っているが、前回2014年1月~10月のテーパリング局面の初期段階で日経平均は一時15%安となった。「金融正常化が進み、これから金利が上がる」などの話がでてくれば市場はガタガタする。今まさにテーパリングが始まり前回同様に「金融正常化や金利上昇」の話が出てガタガタしている。昨年の日経平均の終値は28791円。ここから15%下落すると24500円。現在の日経平均は28500円のレベルなので最大4000円の下落リスクがある。これを今年の安値メドと考えている。テーパリングが終わり金利引き上げに移行すると、マーケットは徐々に平静を取り戻して業績相場へ回帰すると考えている。

今述べた下落リスクはあるものの、現在の28500円自体は割安水準と私は考えている。22/3期予想のEPSを元にした日経平均PERは13倍台後半。通常15倍レベルなので実力ベースでは31300円。したがって実力値に追いつけば10%程度の上昇余地がある。さらに23/3期は景気回復でEPSが10%程度伸びると私は予想している。これを考慮すると日経平均は34500円となる。したがって、日経平均のレンジは安値24500円~高値34500円、ちょうど1万円の上下差があると考える。

当面の投資戦略としては大型バリュー株を重視している。昨年12月から現在にかけて明らかな兆候が出ている。それは今後の金融政策の正常化に向けて、好業績かつ割安の大型株が相場を牽引する一方、グロース株や小型株は不振を極めている点だ。グロース株や小型株は金融正常化に入れば割高感が意識されてパフォーマンスが悪化する。今年はこういう流れが続くと思われるため、留意しておいていただきたい。

小型株のスペシャリストである私が言うのもなんだが、今年は小型グロースが一番ダメな投資領域になると思う。年明けから東証マザーズ市場はわずか1週間で10.6%下落し、昨年10月以降では21.7%も下がっている。マザーズ市場の個人投資家の信用取引評価損はマイナス30%とおぞましい状態だ。これが何を表しているのかを考えて欲しい。新年早々、ある個人投資家から私への質問で「テンバガーを狙ってマイクロキャップに投資したいと思いますが、いかがでしょうか?」というのがあったが、私ははっきり言った。「今年はテンバガーなど狙っていると痛い目に合うのでおよしなさい」と。テンバガー狙いは逆業績相場が終わったボロボロの投資環境が最適で、その後の金融相場でドカンと成果を得る。今はもうそんな時期はとっくに過ぎてしまっている。今はテンバガーになった銘柄が暴落するような局面に入っている。皆さん、お気づきだろうか?

弊社では今年も積極的に皆さまの運用資産を積み上げるべく良質な情報を提供していきたいと思う。引き続きよろしくお願いいたします。

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