しばらく停滞局面が継続か

2021/04/28

4都府県に3度目の緊急事態宣言がなされたが、「この一年間、政府は一体何をやってきたのか?」という声を最近よく聞く。日本でも変異株が猛威を振るっており、長らくの間海外との渡航を認めてきたツケが今になって深刻になっている。「水際対策は万全」と繰り返していたが、やはり機能していなかったわけだ。この状況において「人類がコロナに打ち勝った証にオリンピックを開催」などと空々しいスローガンを掲げても全く意味がない。日本は今やあらゆる面で後進国の状態にあり、先行きが非常に懸念される。オリンピックの強硬的な開催が日本にとって致命的にならないことを願う。さて遅くなったが、3月のポートフォリオの状況ならびに4月の近況について記したい。

3月のマーケットは日米市場ともに上昇する展開となった。

米国市場は続伸。NYダウは初めて33000ドル台に乗せ過去最高値を更新。2月の雇用統計が+37.9万人と予想の+17万人を上回り、失業率も6.2%と予想の6.3%より低下。1.9兆ドルの追加的経済対策で個人に1400ドル支給による消費喚起への期待が高まる。バイデン大統領は就任100日で従来の2倍の目標となる2億回のワクチン接種を目指すと表明。FRBは2023年まで現在のゼロ金利を続けるとの意向を示す。インフレ加速との見方から、長期金利は1年2か月ぶりに1.7%台に。一方、欧州で感染力の強いコロナウイルスが拡大し、独仏伊では再びロックダウンの態勢に。3月のNYダウは32981ドルと前月より2049ドル上昇し月間騰落率は+6.6%。ナスダックは13246となり54ポイント上昇の+0.4%となった。

東京市場は5ヶ月続伸。米国株高や追加経済対策の決定を好感。円安・ドル高が進み、企業業績改善への期待も膨らむ。長期金利上昇が嫌気され、グロース系銘柄が売られる。3月中旬より長期金利上昇懸念に加えて、日銀のETF買い変更による不透明感で投資家心理が悪化し、日経平均は3/22に617円安、3/24に590円安と大きく売られる。その後はリバウンド期待の買い戻しで、ボラティリティが高水準に。為替は先月末の106.05円から今月末は110.65円と急速な円安に。売買代金は3.0兆円程度と商いやや膨らむ。3月の日経平均は29178円で取引を終え、2月末の28966円から212円上昇し月間騰落率は+0.7%、Topixは+4.8%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+3.7%、マザーズ指数は-0.9%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における3月のパフォーマンスは+4.3%となり、年初来+8.6%、累計では+226.3%(2月末+213.0%)と過去最高値を更新。3月末時点のポートフォリオの株式比率は85%で34銘柄を保有(2月末は83%で33銘柄を保有)。株式部分の含み益は+70.7%(2月末は+63.6%)。ただし、85%のうち現物株のウェートは50%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計90%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは65%のロングポジションである。

4月は米国市場が過去最高値を更新する中、日本市場は日経平均が一時は3万円台を回復したものの、冴えない状況が続いている。世界的に再び新規のコロナ感染者数が過去最高を更新していることに加え、日本でも変異株の猛威で感染者数が急増し再び非常事態宣言の発出がなされたことが嫌気されている。マーケットのムードが悪くなったため、好決算銘柄の好業績予想が材料出尽くし感のように捉えられて、利益確定売りのきっかけとなるケースが目立っている。いよいよ本格的な決算発表に入るが、決算を買っていくという雰囲気はまるでない。しばらくは停滞局面が継続する可能性がある。

ただし、株価は最終的には個々の企業業績に回帰するため、相場全体の雰囲気に流されるべきではない。我々としては引き続き、ファンダメンタルズに基づく個別企業投資の姿勢を重視している。ポートフォリオ銘柄の決算内容を点検しつつ、銘柄の入れ替えや新規投資をおこない、さらなる運用資産の積み上げに邁進したい。

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