こういう銘柄にチャンスあり~叩き売られたIPOを再評価~

昨年の12月に中国の武漢市を発生源とした新型コロナウイルスによる肺炎。今月になって爆発的に拡大しており、日本でも感染者が増えている。もちろん短期的にはマーケットにとってはマイナスであるが、これまでも何度も同様の経験をしてきた。ちなみに2002年~2003年のSARSでの日経平均の下落率は9%。決してパニックになることなく、冷静に対応するのが賢明である。さて遅くなったが、12月のポートフォリオの状況と1月の近況、そして現在の注目銘柄について記したい。

12月のマーケットも日米市場ともに上昇する展開となった。

米国市場は4ヶ月続伸。11月の雇用統計は予想の+19万人に対して+26.6万人と堅調で9月10月分も上昇修正される一方、11月の製造業景況感指数は48.1と予想の49.4を下回り4カ月連続で50を下回る。12/15に予定されていた中国への追加関税発動が見送られ、米中貿易協議の第一段階の署名が1月におこなわれる可能性が高まったことやクリスマス商戦の好調から買い優勢となり主要3指数揃って過去最高値を更新。12月のNYダウは28538ドルと前月より487ドル上昇し月間騰落率は+1.7%。ナスダックは8972となり307ポイント上昇の+3.5%となった。

東京市場も4ヶ月続伸。米中貿易協議の進展期待や、中国の11月の製造業PMIが50.2と0.9ポイント改善し投資家心理が改善。政府が追加の経済対策を閣議決定したことも追い風に。またイギリス総選挙での保守党の圧勝を受けて12/13の日経平均は今年最大の上げ幅となる598円高で24000円台を一時回復。その後は利益確定売りで上げ幅縮小。為替は先月末の109.45円から今月末は109.15円へ。売買代金は1.9兆円程度と閑散状態。12月の日経平均は23656円で取引を終え、11月末の23293円から362円上昇し月間騰落率は+1.6%、Topixは+1.3%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+4.7%、マザーズ指数は-1.9%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における12月のパフォーマンスは+1.7%となり、年初来+12.2%、累計では+162.0%(11月末+157.7%)と前進。12月末時点のポートフォリオの株式比率は75%で29銘柄を保有(11月末は73%で27銘柄を保有)。株式部分の含み益は+31.4%(11月末は+29.5%)。ただし、75%のうち現物株のウェートは41%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計81%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは56%のロングポジションである。

1月に入っても米国市場は主要3指数揃って上場来高値を更新していたが、1/20をピークにして新型肺炎の感染拡大懸念から頭打ちとなっている。本格化している企業決算はアップルを始めとして予想を上回る企業が多く好調である。一方、日本市場は日経平均が23000円割れを試す展開となっており米国市場よりも厳しい状況にある。決算発表はいよいよこれから本格化するが、主要企業の中で先陣を切って決算発表をおこなった日本電産は先行投資負担で下方修正となったが、永守会長は「最悪期は脱した」とコメントしており、株式市場にとっては力強い兆候が出てきている。

そうした中、前回レポートでは「高値から株価が1/3と過去10年で最安値圏に沈んだまま、PBRがわずか0.3倍で解散価値の1/3、知名度ゼロの小型景気敏感株」として日本鋳造と日本金属を取り上げたが、今回は「叩き売られたIPO銘柄の再評価」をしたい。

IPO銘柄は、たいてい上場時は公募価格に対して初値が大きく上振れてスタート、その後しばらくは投機的に株価が急騰したりするが、徐々に現実に戻って株価が急落。そして誰も見なくなる…というのがお決まりのパターン。その誰も見なくなった所で株価の割安性をきちんと再評価してエントリーするのが一番成功しやすい方法だと思う。現状において、次のような銘柄に注目している。

①インターワークス(6032、東証1部)
製造業に特化した求人サイト『工場WORKS』の運営や有料職業紹介、新卒採用支援を展開している。2014年12月に東証マザーズに上場し現在は東証1部銘柄の新興系銘柄である。今期は景気減速とコスト先行負担を受けて営業利益は79%減の1.1億円となるため、株価は従来の1200円程度から大きく売られて542円(1/29)となっており、上場以来の最安値圏に沈んでいる。一方、配当は継続のため、期末一括払いの配当利回りは5.5%と極めて高く魅力的。来期は増益基調に戻ると見られ、現在の株価水準での投資は中長期的に高パフォーマンスを狙えるだろう。

②JIA(7172、東証マザーズ)
海運コンテナのオペレーティング・リースを出発点とし、2011年には航空機リース事業へ進出して現在の主力事業に。SPCから管理・販売手数料など業務委託手数料を受け取るビジネスモデルである。業績拡大で株価は一時6000円台まで買われていたが、ボーイングの新型機の事故による懸念や19/12期の業績進捗が低迷していたことから急落。1/17には直近安値1314円まで売られた。しかし、19/12期は業績未達となるものの4Qにおいて四半期ベースでの経常利益は44億円と過去最高に。4Q時点での商品出資金販売額が427億円と前年同時期の279億円を大きく上回っている。20/12期の業績予想は売上高223.7億円、経常利益99.7億円、当期純利益62.8億円の予想をすでに会社側は公表しているが、かなり保守的な数字である。19/12期は1~3Qの業績が低水準であるだけに、20/12期は業績急回復が意識されるたびに株価が上昇する展開を予想している。

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