株式市場の展望。米政策期待の剥落で、伸び悩む日本の企業業績と株価

■はじめに

日経平均株価は3月下旬に2万円回復を伺う場面もあったものの、市場の期待と裏腹に下げに転じた。米政治への懸念や地政学リスクが意識される中、2万円回復はいつか。2017年度の株式市場を展望する。

■遠のいた2万円

米大統領選後の大幅上昇が一服した昨年暮れ以降、株式市場は膠着感が強まっていた。特に、直近の3月は米FOMC(公開市場委員会)、オランダの議会選挙、米トランプ政権が予算概要を提出、G20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)など世界的に重要なイベントが多かったうえ、一部では国内の政治不安も意識され様子見姿勢が強まったためだ。

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こうした中、図1のとおり3月中旬まで日経平均は徐々に下値を切り上げ、市場は先行きに強気な様子がうかがえた。幸い、オランダ下院選挙では極右派政党の議席数の伸びが限定的となったことで、ポピュリズム・反グローバル化の流れがフランス大統領選に波及する政治リスクへの懸念はひとまず後退し、「3月中の2万円回復」も意識させられた。

しかし、その期待はあっさりと裏切られ、株価は下落基調にある。背景は、まずトランプ政権の政策実行力に懐疑的な見方が広がったことに加えて、米景気に対する強気な見通しが後退したことだ。医療保険制度改革(オバマケア)代替法案は可決の見込みが立たず取り下げられた。さらに、10年で5兆ドル(約550兆円)を掲げる大型減税も一向に前進せず、市場としては実施時期の後ズレや減税規模の縮小を意識せざるを得なくなった。

また、米FRB(連邦準備制度理事会)が3月に開いたFOMC(公開市場委員会)で、複数のメンバーが「米国株は高すぎる」という認識を示したことが明らかになった。これらの結果、米国株が売られる一方で米国債が買われて米金利が低下、為替市場では円高が進み、日本株も軟調となった。さらには、北朝鮮情勢を巡る緊迫感の高まりや、米中首脳会談が行われている最中に米国がシリアをミサイル攻撃したと報じられ、地政学リスクへの警戒感も高まった。

今後についても決して楽観できず、日経平均2万円への道のりは遠のいたとみるべきだろう。筆者が考えるメインシナリオでは(図2)、5月~6月に1万8,000円前後まで下落した後、徐々に上昇するが17年末は1万9,500円、2万円回復は18年3月頃まで“おあずけ”とみている。

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株式会社ニッセイ基礎研究所
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