世界同時経済ブーム、安倍大勝の公算、壮大な株高に
【ストラテジーブレティン(187号)】
(1) 北朝鮮、危機深化は11月のトランプ訪亜以降
北朝鮮問題、日本の総選挙、トランプ減税、FRBの利上げと資産圧縮、とテーマが山積しているがこのほぼすべては株高要因ではないか。唯一の読めない不安要因は北朝鮮との軍事衝突であるが、北が自滅行為である先制攻撃を仕掛ける可能性は小さく、唯一あり得る米国の先制アクションは、準備が整う11月のトランプ大統領のアジア訪問の後であろう。安倍首相の突如の9月28日の解散総選挙も、北朝鮮問題が発火する前の国論統一という狙いがあるとみられている。とすればここ1か月間は、しばし安泰の期間といえるかもしれない。
(2) 世界同時景気拡大佳境に
北朝鮮問題を除けば情勢は大幅な株高をサポートする方向に動いている。10月2日発表の日本の日銀短観、米国の製造業ISM指数は、いずれも空前の活況、世界経済は同時経済ブームの只中にあることが、鮮明になりつつある。
日本、バブル期以降最高の業況に、利益空前
短観において製造業大企業の業況判断はリーマンショック以降最高水準まで高まったが、特に化学、電気機械、生産用機械、業務用機械といったグローバル設備投資関連の好調ぶりが顕著である。業況以上に顕著なのは利益と雇用の好調ぶりである。大企業製造業の経常利益は2016年下期の前年同期比33.1%に続き2017年度上期に前年同期比23.1%の連続大幅増益(13.8%の上方修正)となり空前の高収益となった。下期は1ドル109.12円という為替を前提に8.9%減益と慎重な見通しだが大幅な上方修正は必至であろう。経常利益率は2017年度(計画)7.47%とリーマンショック直前(2006年度)の6.76%、バブル景気ピーク(1889年)の5.75%を大幅に上回る見通し、日本企業が顕著に高付加価値化、好採算化にシフトしている様子がうかがわれる。アジア勢に価格競争で敗退した日本企業は、技術品質がものをいう非価格競争力分野で圧倒的プレゼンスを確保していることをうかがわせる。ちなみに中国の対日輸入は2016年1.6%増(対韓国8.9%%減、対台湾2.8%減)、2017年1~8月14.3%増(対韓国9.5%増、対台湾10.2%増)と、他のアジア諸国を上回っている。中間財供給において日本の優位性が強まっている表れと考えられる。