景気成熟、株価割高論は正しいか
【ストラテジーブレティン(182号)】
低インフレ、イールドカーブ裁量の下でFRBのリセッション回避力は高まっている
景気成熟、株価割高論は正しいか、との問いに対しては明確に「間違いである」と答えることができる。米国で最も信頼されているエコノミストの一人であるエド・ハイマン氏はレポートで“No post war recovery has died of old age. The Fed has murdered every one of them.”「戦後の景気拡大は拡大期間の長さゆえに終わったことはなかった。全ての景気はFRBの引き締めによって殺された」というドーンブッシュ教授の言葉(1997年8月)を紹介し、引き締めの誘因たるインフレが抑制されている限り、景気拡大は途切れない、との見方を披瀝している(5月31日デイリーレポート)。つまりインフレ懸念の高まり⇒過度の引き締め⇒逆イールドカーブ(長短金利逆転)⇒リセッション、が例外なき戦後の因果関連なのである。逆イールドカーブに陥るような引き締めの必要がない以上、リセッション懸念は地平上には表れていない。またFRBは短期金利に対する裁量のみならず、テーパリング(バランスシートの裁量)により、長期金利にも大きく影響を及ぼすことができるようになっている。日銀のみならずFRBもイールドカーブをコントロールできるようになっている。この条件下で逆イールドカーブがもたらされる可能性は、近い将来考えにくくなっている。
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