トランプ政権下の日本株投資戦略、壮大な上昇相場の始まりに
【投資ストラテジーの焦点(301号)】
以下では丸三証券様のご厚意により、丸三レポート2017年2月号に掲載された、丸三証券小祝寿彦社長との対談をご紹介します(一部加筆と図表を追加しています)
(1) 米国大統領選後の株価上昇は、壮大な上昇相場の始まりに過ぎない
小祝:米国大統領選後、日米とも株式市場が大幅な上昇に転じています。しかし、日本株の投資家別売買動向を見ますと、外国人買いが活発な一方で、国内の投資家は大幅に売り越していて相場の先行きに疑心暗鬼のようです。そこで先ず、先生はこの上昇相場についてどのようにご覧になられているのかお話いただけますか。
武者:米国大統領選後に日米とも株式市場が大幅な上昇に転じた直接的な理由は、これまでのマーケットのコンセンサスが、全く現実離れした根拠のない悲観論に支配されていたことの反動だと思います。従って、大統領選挙はひとつのきっかけで、仮にクリントン氏が勝利していても、大幅なリバウンドが起こる局面だったと思っています。今の相場は、誤った悲観論の是正が起こっているということです。
ただし、もう少し深い背景を考えると、世界のメインエンジンである米国経済はこれまでも健全でしたし、日本経済も着実にファンダメンタルズが改善しつつありました。非常に良い方向への変化の胎動はあったのです。しかしマーケットは、そのポジティブな胎動を、昨年の英国のブレグジットや中国経済の混乱といったネガティブな要因を理由にして一切無視してきました。図表1は投資家心理を示す裁定買い残/東証一部時価総額の推移ですが、それは2016年9月時点で過去最低まで低下しており、いかに投資家心理が冷え込んでいたかがわかります。