「市場金利を統制下に」、黒田バズーカ第三弾の威力を考える

【ストラテジーブレティン(168号)】

とうとう日銀が市場価格制御に直接乗り出した
9月21日の政策決定会合において日銀は、①イールドカーブの制御⇒長短金利の管理、②オーバーコミットメント⇒際限なく目的達成を追求する、③追加的手段はある。短期金利、長期金利、資産買い入れ、マネタリーベースの増加加速、という3つの柱からなる新政策を発表した。

バズーカ第三弾になるか
この中での新機軸は長期金利のコントロールである。FRBのQEでもそこまでは踏み込んでいなかった。先進国において金融自由化、市場金融化が確立した1980年代以降では、初めての中央銀行による市場金利の直接コントロールに日銀が乗り出したのである。否定的とは言わずともシニカルな見方が大きく広がっている。失敗、窮余の挙句の奇策、禁じ手、という解釈が一般化している。確かに極端なQE以上に伝統・常識からかけ離れた政策ではある。しかしそれだけに市場インパクトも絶大となる可能性を排除できない。日本株式を一気に3~4割以上押し上げる威力を持っているかもしれない。となれば当然リスクオンの円安となる。イールドカーブ・金利コントロール政策⇒株高⇒円安という好循環が起きる可能性にも一瞥されたい。
WSJ紙は”Japan nationalizes the yield curve(日本はイールドカーブを国営化する)” という社説(9月22日)を掲げ、「金融政策を使い果たした日銀が、本来市場が決める長期金利を政策でコントロールするという、極端な策に乗り出した。国債の買い入れ余地が来年にはなくなり量的金融緩和が限界に達すること、マイナス金利が銀行収益を損なうことなど、日銀は金融政策を概ね使い果たした。その挙句にうちだされたイールドカーブつまり短期、長期金利をコントロールするという新奇策は、市場ボラテリティーを高め、一段と(リスク回避による)貯蓄を強め、銀行に人為的な収益機会を与えることでリストラを遅らせる、などの弊害をもたらす可能性がある。安倍政権は金融政策の限界を認め財政政策と規制改革に軸を移すべきだ」との論説を掲載した。

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