Don’t fight BOJ 日銀の非伝統的政策進化は必至
~理論的帰結は大幅な株高~

【ストラテジーブレティン(159号)】

(1)市場の雰囲気一変、円安・株高を引き起した日銀新政策報道

需給急変、ショートポジションの巻き戻し
先週末、円高ドル安の悪循環にはまり一人低迷していた日本の市場環境が一変、意表を突く株高と円安が起こった。日経平均株価は週半ばの安値16254円から金曜引け値は17572円、シカゴの先物では17740円、9.2%高と急伸、年初来の下落幅は2月12日の22%安から6%安まで大きくリバウンド、ドル円レートも4月11日のボトム107.6円以降の107~109円台のもみ合い水準から一気に111.8円台へと急伸した。テクニカルに機が熟していた、積み上げられていた円高・株安のポジションが一気に巻き戻されたと考えられる。きっかけはブルムバークによる日銀の新規金融緩和スキームの憶測記事「日銀の金融機関貸付金利にマイナス金利を適用する」である。その報道に根拠があるかどうかは不明だが、日銀の一挙手一投足が市場の方向を決定するパワーがあることを見せつけた市場展開であった。

円高株安の背景にある日銀に対する侮り
1月以降4月前半までの半ば安心しきった円高株安投機の根源は、中央銀行、特に日銀に対する侮り、黒田日銀によるマイナス金利批判大合唱、日銀は不能化したとの観測が、声高に語られコンセンサスと化していたことにあった。実際過去極めてパワフルであった政策発動の株価押し上げの効果は、1月29日の満を持してのマイナス金利導入では全く効かなかった。それどころかそれ以降一段と株安円高が進行し、日銀の伝家の宝刀も無効、日銀、中央銀行は政策的に無能化しているとの観測が、メディアを埋め尽くした。

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