黒田イニシャティブ世界を救うか~相場転換のきっかけになり得る1/29金融緩和~

【ストラテジーブレティン(156号)】

(1) 世界に先駆ける黒田イニシャティブ

世界株安底入れの曙光が
1月の急激な世界株安を経て、世界の中央銀行は協調的危機対応、という新たな段階に入っていくかもしれない。それは一段の世界的金融緩和を促進することになる。春先以降は原油価格下落のプラス効果により先進国経済成長が加速することも期待され、世界株式の急反発の可能性が浮上してきた。そうなると投資家はこぞって見込みある投資対象を模索し始める。日本株はそうした時に最も有望な投資対象の一つとして浮上し得る。

際立つ黒田イニシャティブ
この世界的危機管理作戦において、黒田日銀総裁のイニシャティブが際立つ。第一に、マイナス金利導入という「奇策」を打ち出し、日銀の無能化説を打ち消し、かつ世界的金融緩和を先導したこと、第二は、中国の資本逃避加速を阻止するために、資本規制の導入を提唱したことである。

中国危機の発現により現在の世界経済の最重要リスクは依然としてデフレであり、先進国中央銀行の最大の任務はデフレ回避であることが鮮明になった。その際、デフレの病が最も深刻で、対デフレ戦争の経験が最も豊富な日本が先導を務めることは自然である。とは言え、黒田氏の覚悟に基づく大胆さも敬服に値する。「諸悪の根源はデフレであること、デフレの制圧はどのような犠牲を払っても実現するべきであること」に照準を絞り、目的合理的にことを進める。政策決定会合での票決が5対4であっても動じないリスクテイキングこそ、黒田氏が金融市場と共有したいスピリットなのであろう。それは平時ではなく対デフレ戦争という戦時の司令官に求められる資質であろう。

 

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