高市ブーム、解散総選挙、日経6~7万円のシナリオ
【ストラテジーブレティン(389号)】
武者リサーチは10/10(金)早朝「ストラテジーブレティン(388号)サナエノミクス、日経平均10万円が視野に~高市長期政権へ、安倍改革を成就させる~」を発信した。その日の午後公明党による自民党との連立解消が伝えられ、高市氏が総理大臣に選出されない可能性が出てきた。株価は先物市場で6%の急落となった。しかし武者リサーチは10/10のレポートの分析と主張を全く変える必要がない、と考えている。高市総理大臣選出までの不安定な局面は、むしろ良いボトムフィッシュ場面と考える。以下最も可能性が高いと考えられる楽観シナリオを描いてみる。
懸念通りの船出の困難、だが高氏首相指名はほぼ確実
先週金曜日(10/10)の公明党の連立離脱のニュースは日本国民と市場にショックを与えた。高市氏が総理に選ばれない可能性が出てきたのである。首相指名は、衆院での過半数を獲得した者が選ばれる。しかし第一次投票で誰も過半数に達しない場合、上位2名の決選投票で多数を得た者が指名される。直近の衆院各党別議席数は過半数232議席に対して、与党220(自民196、公明24)、保守系野党74(国民民主27、維新35、有志・改革の会7、参政党3、日本保守2)、リベラル系野党165(立憲民主148、共産8、れいわ新選組9)、無所属6となっており、どの党も過半数に満たない。よって野党が連合すれば239議席となり野党統一候補が首相になる。
早速立憲民主党は国民民主党の玉木氏を統一候補として、各野党に連携することを呼びかけた。しかし国民民主党は安全保障、エネルギー、経済政策等、重要分野で政策一致がない連携は拒否している。維新も国民民主の姿勢に同調している。また公明党斎藤党首も野党候補への投票は考えられないと言っている。よって決選投票で自民党の高市氏が首相に指名されることはほぼ揺るがない、と考えられる。
高市首相は水を得た魚になる
高市新総理は誕生の直後から、満を持して精力的に活動するだろう。改革派保守諸党の協力を得て、懸案のインフレ対策、給付金付き税額控除、ガソリン税と軽油引取税の暫定税率の廃止、更に病院・介護施設への支援などを含む補正予算を成立させる。外交面でも高市新首相はトランプ来日とアセアン首脳会議で華々しい外交デビューをすることが予想される。専制国家、中・露・北朝鮮は上海協力機構や、9月3日の「中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利80周年」記念日で、あからさまな連帯を見せつけた。中東和平を実現したトランプ政権は、軸足をアジアに移し、対中・露・北の連携構築に本腰を入れるが、その要となる日本に対する期待は高まる。
早期の解散総選挙、高市ブームが起き、自民党は失地回復する可能性高い
解散総選挙が早まる可能性は高い。高市政策に対する反対が強く政治が滞れば高市氏は解散総選挙と言う奥の手を打ち出すだろう。また政策がスムーズに実施され政権に対する信認が強まれば、少数与党と言う不正常を是正するための解散総選挙に踏み切る公算が大きい。
カギを握るのは高市人気。以下の3理由から高市人気が高まっていくと想像される。
1)政策に対する支持➡高市新政権が打ち出す新自民党政策は、積極財政を軸とした成長政策、慎重な外国人政策、安全保障政策の充実等で、国民は支持するだろう。これら新政策は先の参院選挙で国民的支持を得た、改革派保守3党の政策と相似形になり、改革派保守3党に流れたかつての自民党のコア保守層を回帰させる。
