日銀YCC政策変更の意義
~日銀の政策遂行能力に対する信認を高めた~

【ストラテジーブレティン(337号)】

(1) YCCの出口に向かう日銀

長期金利は市場実勢に委ねられ、上昇していく
7月28日、日銀はYCC(イールドカーブコントロール)政策の変更を発表した。昨年12月に続く2回目のYCC変更である。金利には政策によって決定される短期金利と市場が決める長期金利があるが、2016年に導入されたYCCは本来市場で決まる長期金利をも当局がコントロールするというものである。それ以降、日銀が容認する10年国債利回りの上限は0.25%であったが、昨年12月の変更で、0.5%に引き上げられた。

今回はそれがさらに1.0%に引き上げられた。市場の裁量の余地を拡大させたのであるから、日銀がどう説明しようともYCCの出口へ向けての歩を進めたことは疑いない。昨年12月以降10年国債利回りは0.25%以下から0.4~0.5%のレンジにシフトしたが、今回の決定によって、更に水準を切り上げると想定される。政策変更後1週間で0.65%まで上昇しており、今後は日銀のオペレーション次第だが、0.5%~1.0%の間で推移していくものとみられる

>>続きはこちら(610KB)

株式会社武者リサーチ
「論理一貫」「独立不羈」「歴史的国際的視野」をモットーに、経済と金融市場分析と中長期予想を目的とし提供していきます。
著作権表示(c) 2013 株式会社武者リサーチ
本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。本書および本書中の情報は秘密であり、武者リサーチの文書による事前の同意がない限り、その全部又は一部をコピーすることや、配布することはできません。