大西洋両岸、GAFAMとLVMHの繁栄
~奢侈品需要が目安になる~

【ストラテジーブレティン(331号)】

(1) 大西洋両岸、GAFAMとLVMHの繁栄

ハイテク株価の顕著な立ち直り
総悲観で始まった2023年の米国株式市場の大きな誤算は、GAFAMの復活とハイテク株の立ち直りであろう。コロナ禍以降、突出した技術革新と株価上昇で時代をけん引してきたGAFAMは、2022年はコロナ特需の終焉、スマートフォン需要の頭打ちに加えての急速な利上げにより株価が急落、ブームの時代は終わったかと思われた。しかし、さにあらず、再度出直りが急ピッチである。今年に入ってからの米国株価を見ると、NYダウ指数は1.5%の上昇にとどまっているのに対して、ハイテク主体のナスダックは年初来17%上昇と大きく差がついている。

ChatGPTなどAIの新しい技術が新次元のイノベーションを引き起こすことが見えてきた。GAFAMや半導体などのハイテク株が再び市場をリードし始めている。ChatGPTなどAIに使われる半導体GPUを一手に供給するNVIDIAの株価は一年前の史上最高値から昨年10月にかけて66%の大暴落となったが、その後半年で2.4倍と急回復しているのである。

欧州ブランド・コングロマリットの躍進
一方、目を欧州に転ずると、全くカテゴリーの異なるブランド企業の躍進が際立つ。その代表であるLVMHの株価は年初来で25%上昇して史上最高値の更新を続け、時価総額は4363億ドル(65兆円)と欧州最大の企業にのし上がった。フランスのLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンは世界最大のブランド企業で、全世界で20万人を雇用し、2022年度の売上高は792億ユーロ(11兆円)に上る。1987年にモエ・ヘネシーとルイ・ヴィトンが合併したことからはじまり、現在ではルイ・ヴィトン、フェンディ、ジバンシィ、ケンゾー、ロエベ等ファッションをはじめ、ジュエリー、香水、酒類など幅広いカテゴリーで数多くのブランドを傘下に持っている。最高経営責任者(CEO)かつ筆頭株主のベルナール・アルノー氏は2023年版世界長者番付において、推定保有資産額が2110億ドル(約28兆円)とテスラ創業者のイーロン・マスク氏を抜き首位になった(フォーブス誌)。その他、グッチやサンローランなどを抱える仏ケリング、カルティエ、ダンヒル、クロエなどを抱えるスイスのリシュモンなどファッション・ブランド業界の世界3大コングロマリットも好調である。

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