コロナ忌明けの夏、日本株の時が来た
【ストラテジーブレティン(307号)】
日本株の投資チャンス到来、今年はサマーラリーが期待できるかもしれない。米国経済のソフトランディング(深刻な景気後退はない)が見えてきた。米国株の底入れが明確になれば、日本株が世界物色の焦点になると考える。
ペントアップディマンドが爆発する
市場は5月半ばまでの急落場面を過ぎ、落ち着きを取り戻している。米国株の底入れがほぼ明確になり、日本株が世界物色の焦点になってくるだろう。コロナパンデミック、ウクライナ戦争、インフレと米国利上げ、という市場を巡る3重苦を市場は消化し終わり、底流にあるポジティブ要素を看過できなくなっているからだ。コロナがほぼ制圧できたことの意味は大きい。コロナパンデミックにより欲求と貯蓄が蓄積されている。その解放の力は相当に大きい。コロナ忌明け、この夏は米国でも日本でも鬱積していた欲求が爆発するのではないか。
米国のソフトランディング可能性大
米国の2022年第1四半期のGDPは-1.5%だが、純輸出と在庫の減少によるものであり、7割の比重を持つ消費は3.1%と堅調であり心配はない。第2四半期以降急拡大し、年間ではIMF見通し(4月)の3.7%近い成長となるだろう。旺盛な消費者心理が健在、貯蓄が潤沢なうえ、良い賃金上昇・格差縮小が目立っており、消費好調持続の好材料が揃っている。インフレは、まず耐久財、次いでサービス、さらに生活補填の賃金上昇という3つ段階で起きているので、完全な鎮静化には2~3年の時間がかかるが、いずれも長期に定着するものではない。FRBはインフレ抑制を最優先するタカ派的姿勢を表明し、市場は長期金利の急騰とピークアウト、インフレ期待の急上昇とピークアウトによってそれに応えた。FRBはこれでほぼ仕事を終えたと言ってよく、これ以上の株価下落、心理の悪化はリセッションのリスクを高めるので、引き締めのトーンを弱めていくだろう。サプライチェーンの混乱・エネルギー価格の上昇はそれ自体デフレ効果を持っていること、いずれもFRBの制御外にあることを市場も当局も承知している。QT(量的金融引き締め)の帰趨は未知数だが、オーバーキルの可能性はごく小さいと見てよいのではないか。リーマンショック後12年で7倍になった米国株