新型コロナウィルスと米国株高シリーズ②
国益に資する米国株式資本主義、隆盛の検証

【ストラテジーブレティン(245号)】

 

新型コロナウィルスがメディア見出しを独占している中で、長期的に見るとより重要な趨勢が、米国経済を覆っている。株式が資金循環の中枢に座り、株価上昇が経済発展の推進力となる新たな時代、株式資本主義の時代が始まっている、と考えられるのではないだろうか。

米国は米中覇権争いに勝つためには、何が何でも株式資本主義を成功させなければならない。米中覇権争いにおいては、AI、量子コンピューター、ブロックチェーン、導電性高分子、自動運転、再生医療などの先端技術分野における技術覇権をどちらが制するかがカギを握るが、中国は国家資本主義の下での集中的資本投下により、多くの分野で米国を凌駕しつつある。5Gネットワーク技術においてファーウェイが大きく先行していることは、米国に猶予は許されていないことを物語る。米国が先端分野における投資競争に勝ち抜くには、株式資本主義を強化し資本力を強めていかざるを得ないという、地政学上の要請がある。なお、資本力強化に整合的為替方向はドル高であり、現在のドルの強さはそうした米国国益を反映し始めているのかもしれない。

1) MAGA主導の株高、株高が起点となる米国経済の好循環

疾風に勁草を知る
新年早々イラン革命防衛隊ソレイマニ司令官殺害、新型コロナウィルス蔓延などのネガティブニュースが相次ぐ中で、米国株式は3指数そろって史上最高値を更新している。「疾風に勁草を知る(逆境で真価がわかる)」、の故事にある通り、株式の地相場の強さをうかがわせる。NYダウは2009年3月の6,547ドルから2020年2月29,400ドルへと4.5倍、年率15%の上昇を遂げた。その牽引車がMAGA(マイクロソフト、アップル、グーグル、アマゾン)というハイテク革命の旗手でいずれも時価総額1兆ドル企業群である。

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