ニューノーマルと化した米中覇権争い、日本株にチャンスが
【ストラテジーブレティン(235号)】
(1) 米中貿易一時休戦、米国からの威圧強烈
一時休戦は米国の狙い通り
トランプ政権は中国農産物輸入(米国側は400~500億ドルと発表)と引き換えに、上乗せ関税を棚上げした。(第1~3弾2500億ドル分の対中輸入に対して25%かけていた関税を10月から30%に引き上げるとしていたものを棚上げ)。中国からの不公正慣行是正の約束なし、トランプ譲歩、腰砕けとの論評もなされている。確かに選挙前の手柄を買いたい姿勢を見抜かれ、小さな獲物で一時休戦したように見える。しかし、米国は何の犠牲も払っていない。中国の譲歩が不十分なら1~3弾分の上乗せ関税の復活、第4弾(2700億ドルに対して15%課税)で未実施分1600億ドルに対する課税実施、など脅迫の手立ては残している。結局、中国は折り合い、11/16、17日に予定されているチリAPECでのトランプ・習会談で正式署名という段取りが想定される。
主導権は米国サイドに
交渉の主導権は米国側にある。基本的対中要求は全く取り下げていない。今後も中国の出方次第では、関税率の引き上げというペナルティを続々打ち出すことができ、その上限は無限である。中国が譲歩しないとして制裁関税を100%、200%と引き上げれば、米中貿易は激減し、中国経済は直ちに破綻、米国経済も供給不足と関税により大幅な財のインフレ(但しこれは一時的なもの)が起きる。
よってペナルティの限度は、米国経済と市場が大打撃を受けない範囲と予想される。但しここ一年の経験から相当ペナルティを上げても米国経済と株価への影響は軽微と観測が成り立つ。25%関税でも、NY株価は史上最高値近辺を維持し、2020年リセッションの影もないのである。