総悲観からの大転換が近づいている
~アルゴ手法による箱田氏との相場展望論議~

【ストラテジーブレティン(222号)】

箱田氏の価格指標による短期展望と武者リサーチの長期ファンダメンタルズ分析のコラボ

Q) 世界の株式市場は、1~2月の急反発場面を終え、足踏み状態です。3月22日のNY市場では、NYダウ工業株は460ドルの下落、前日比マイナス1.9%と、今年2番目の大幅下落になりました。続く3月25日の日経平均は650ポイント、3.01%の急落となりました。これが潮目の転換点なのか、単なる踊り場に過ぎないのか、今回は、独自のアルゴリズムによる短期市場予測の箱田メソッドを主催している、金融データソリューションズの 箱田 啓一 社長をお迎えして、展望を考えていきたいと思います。箱田メソッドは昨年の2回の急落をピンポイントで的中させ、注目を集めました。それでは最初に、武者リサーチの見解をお願いします。

3月末の急落は絶好の買い場
武者) この下落は長期上昇相場の踊り場、絶好の買い場になる可能性大、と考えています。理由は世界経済がリセッションに陥ることはなく、むしろ今後米国・中国経済ともに浮揚力を強めていく可能性が極めて高いと考えるから。①去年の下落要因の懸念はほぼ消えた(米国金融引き締め、米中摩擦、中国景気失速)、②米中とも政策は景気てこ入れに大きくシフト、③昨年末の株価暴落が引き金となった自己実現的経済悪化が唯一最大の懸念であったが、経済心理はほとんど悪化せず、米国中国とも株価は下落の大半を2か月で回復した、④人々の過剰悲観は強く、それはかえって強気要因、等が理由である。もし当社のそうした見方が正しいとすれば、今後の株式市場には大きなポジティブサプライズが待っているのでは。

Q) それでは箱田社長、箱田メソッドに基づくと先週の下落をどのように評価されるのか、お聞かせください。なお箱田メソッドとは、過去の価格情報から独自のアルゴリズム解析が探り当てた規則性を基に短期市場をどう考えるか、と言っていいですね。

警戒すべきは5月初旬
箱田) 箱田メソッドに関してはそれで結構です。それではFDS(金融データソリューションズ)による、3月22日の相場下落の解釈を行いたいと思います。直近の急落は上昇相場の踊り場、むしろ絶好の買い場なのでは、との結論です。図表1は当社のアルゴリズム解析による日経平均の近未来予測ですが、3月末から堅調相場が5月連休中まで続き、5月初旬にあり得る米国株の調整場面での警戒期間を経て、6月にかけても上昇する可能性が強い、という結果です。図中にある3つのシナリオは過去の類似パターンから検出された相場トレンドで、最も確率が高いメインシナリオが箱田メソッドに近い形状となっています。

箱田メソッドでは3月22~25日の日米株価急落は予想できませんでした。ただ、米国10年債利回りの急低下は予想していました。10年債利回りの急低下が長短金利逆転をもたらし、それがアルゴリズムの売り指令の引き金を引いた可能性があると思います。ただ箱田メソッドで予測できなかったということは、株価下落が過去の規則性から大きく乖離しているということなので、下落にファンダメンタルズの根拠がなかったとすれば、それは逆の修正もあり得ると思われます。米国ダウ工業株は5月初旬までに史上最高値を更新すると予測されます。箱田メソッドはSea Change(相場の転換点)とPoisson(相場趨勢)の二つを出力としていますが、米国株式は5月10~14日に天井の潮目を形成すると予想されます。

ドル円レートを箱田メソッドによって予測すると、しばらくの円安基調のあと、5月10日以降に円高転換する、5月末に再度円安転換の潮目が到来する、となります。図表2は過去の類似パターンから検出される短期相場パターン予想です。

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