FM 今月のポイント(2016年9月)
*今月は日米の金融政策がマーケットの注目点となります。ジャクソンホールで9月利上げ(20 日~21 日FOMC 開催)の可能性を匂わせたFRB 首脳陣ですが、8月のISM 製造業指数が予想外に悪化(7月の52.6 から49.4 に低下、半年ぶりの50 割れ:特に生産、新規受注が大きく落ち込んでいる)し、大注目の8月雇用統計は非農業部門雇用者数増加が15 万1000人(事前予想18 万人)に留まったことから、36%程度まで高まっていた9月利上げ確率(FFレート先物から算定)が21%まで低下しています。ただし、年内の利上げ確率は逆に54%まで高まり、順調な雇用者数増加ペースを評価しているようです。8月雇用統計を受けたマーケットは株高、ドル高で反応しています。
*FOMC と同日に開催される日銀金融政策決定会合では、これまでの金融政策を総括した上で緩和が強化されるのか、部分的に縮小されるのか、次の一手によりマーケットがどのように反応するのか、今年度上期の最重要イベントになりそうです。8月の金融政策決定会合で9月の検証(総括)を表明し、ETF の倍額購入を決定したことによりマーケットの方向性が大きく変節しました。先ずは金融緩和縮小の思惑が出たことで長期金利が上昇、債券代替投資が人気化した(アクティブ投資家もなびいた)反動から割安に放置されたバリュー株のショートカバーラリーが発生しました。このグロース株売り、バリュー株買いの流れが日銀のETF 倍額購入により加速、特にETF 買いの恩恵を受けない新興市場を中心とした中小型グロース株が大きな下落となりました。東証マザーズ指数は8月中に6月安値を割り込み(終値ベース)、4月高値から約28%下落しています。
*日銀が金融政策を検証した結果、金融緩和強化になれば(長期金利の低下につながれば)再度、債券代替投資ブームが復活してグロース株の復調が期待されます。その場合は現状までに売られすぎの領域にある新興市場を中心とした中小型株の反騰が期待されます(空売りも相当に入っているものと考えられ、ショートカバーの規模も大きい)。しかし、日銀が緩和縮小に動いた場合は一段のバリューシフトとなり中小型グロース株の劣位が続くと思われます。
*9月イベント相場は中小型グロース株の反騰をメインシナリオと考えています(バリューシフトはショートカバーのみで一時的)。政府が財政拡大を推進している状況下において長期金利を反騰させる政策転換は難しいと思われるからです。しかし、9月会合の結果がすんなりとマーケットに浸透するか否か、予断を許しません。「マイナス金利の深掘り」「長期国債購入額弾力化」「国債以外の資産購入の拡充」「時間軸強化」「ツイストオペ」「イールドカーブのスティープ化」等、事前に想定されている策が全てセットで発表されたとしても、政策発表の瞬間を待っていた「円高派」と「円安派」、「ボンド派」(長期金利の低下)と「エクイティ派」(株価上伸)の想いがこもった売買が激しくぶつかり合い、ドル円相場も日経平均株価も乱高下する場面が想定されます(市場の評価が固まるまで、しばらく時間がかかる)⇒中小型グロース株が反騰を開始するまでにタイムラグが生じる可能性があり、注視が必要です。
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