ブルーベリーはパンデミックに対抗する切り札になるのか?
「ブルーベリーがコロナウイルスを無害化する」という研究結果が発表された。宮崎大学医学部の森下和広教授らのチームによる研究で県産ブルーベリーの茎と葉から抽出した成分に新型コロナウイルスを無害化する抗ウイルス作用があることを確認したというものだ。「実」ではなく「茎」と「葉」に効果があったことが画期的である(参考)。
世界のブルーベリー市場は来る2024年までに45億米ドルに達すると予測されている。
脳の機能を保護する効果(参考)やDNAのダメージを減らす(参考)など、近年その栄養価が認められ世界的な需要はまだまだ伸びると予想されている。
今回の我が国における研究結果が今後世界中に広がりそうだ。
(図表:ブルーベリー)
(出典:Wikipedia)
世界のブルーベリー原料市場は非常に競争が激しく、多くの主要なプレーヤーで構成されている。
世界におけるブルーベリー(ワイルド、カルチベイト、ビルベリーを含む)生産量のトップ5はアメリカ、カナダ、中国、チリ、ペルーである。北米大陸だけで世界のおよそ80%以上のブルーベリーを生産している。
ここに南アフリカが近年躍進している。同国も世界的に需要の高い抗酸化物質やビタミンCが豊富なこの有望な果実の栽培に乗り出した。過去12年で生産量は40倍に増え、主に欧州に輸出されているが中国や韓国市場にも到達した。しかも今回のパンデミックは南アフリカのブルーベリーの輸出に支障をきたしていない(参考)。
大手の米国やカナダに比べれば南アフリカのブルーベリー生産量は「控えめ」ではあるものの中国や韓国での市場獲得を目指しているため生産量のさらなる伸びが予想される。
(図表:ブルーベリー)
(出典: Le Monde)
ペルーのブルーベリー・シーズンが終わり、これから市場の大半はチリが占めることになる。そしてその後はスペインやモロッコなどの地中海沿岸諸国にシーズンが移る(参考)。
ブルーベリー原料市場の範囲として「冷凍」ブルーベリー、「乾燥」ブルーベリー、濃縮ブルーベリージュース、ブルーベリーピューレなどが含まれ、市場は医薬品、食品および飲料、栄養補助食品/栄養補助食品として分割される。
昨年(2020年)の「健康食品」の市場規模は前年比0.9%増の1兆4999億円だったと試算されている。世界的なパンデミックを受けて免疫機能などをうたった「機能性表示食品」が市場を牽引した。今年(2021年)には2.3%増の1兆5352億円への拡大を見込んでいる(参考)。
「ブルーベリー」を商品化している企業として小林製薬(TYO:4967)やアサヒグループホールディングス株式会社(TYO:2502)、森下仁丹(TYO:4524)などが挙げられる。
専ら「目にやさしい」ことにフォーカスが当てられてきたブルーベリーにもう1つの可能性が出てきたことで新たな商品開発が期待される。ブルーベリーの世界の需要と併せて、引き続き注視してまいりたい。
グローバル・インテリジェンス・ユニット Senior Analyst
二宮美樹 記す
前回のコラム: 華麗なるアートのパラレルワールド
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